ユーザーインタビューを成功に導く4つのポイント
プロダクトを通してユーザーに価値のある体験を届けるためにはユーザーの理解は欠かせません。
<関連記事>
20業界以上、とくに金融業界と長くお付き合いしてきたアジケの「経営」「デザイン」「ディレクション」のノウハウを一挙公開!ぜひ合わせてお読みください。
目次[非表示]
ユーザーインタビューとは
ユーザーインタビューとは、プロダクトに関わる様々なテーマについて、ユーザーがどのように考えているかを調査する手法です。
ユーザーの普段の行動や習慣を聞き、サービス開発に役立てることを目的としています。具体的には、サービスのペルソナを作成する場合や、新機能のニーズ調査などに用いられます。
ユーザーインタビューには大きく以下のような種類があります。
- デプスインタビュー
- グループインタビュー
- エスノグラフィックインタビュー
- etc...
デプスインタビューとは
デプスインタビューをする上でのポイント
1対1のインタビューなので一見簡単そうですが、細かい聞き方の違いが結果を大きく左右します。デプスインタビューは以下に挙げたポイントを意識して行うことが重要です。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
デプスインタビューは質問者と回答者の「対話」の中で出てきた感情や意見を拾い集めて情報を得ていきます。よいデプスインタビューをするには対話の質を高めることが重要です。
対話の質を高めるには質問の仕方を工夫する必要があります。 話を展開させたい場合では、「はい」、「いいえ」だけで答えられる質問(クローズドクエスチョン)を投げかえるべきではありません。そのような場合は回答を限定しない「オープンクエスチョン」を心がけましょう。
逆に話題を絞りたい、あるいはトピックを変えたい時などにはクローズドクエスチョンを使うようにしましょう。
このようにオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分けてインタビューを行うのが望ましいです。
基本的にはクローズドクエスチョンで聞くことの方が簡単で意識しなくても使えるので、オープンクエスチョンを使うことを意識することの方が重要になります。
▼クローズドクエスチョンの例
「〇〇の映画は楽しかったですか?」
回答は「楽しかった(yes)」か「つまらなかった(no)」の2択なので対話が展開していきません。
▼オープンクエスチョンの例
「〇〇の映画を見てどう感じましたか?」
回答のフォーマットを制限しないので、必然的に話が展開していきます。
文脈に沿って質問する
デプスインタビューはアンケート調査とは異なります。一見似ているようですが、アンケートは一問一答形式で進めていき、いわゆる定量的なデータを集める手法であるのに対し、デプスインタビューは対話の中で定性的なデータを集めていく手法です。
そのため、インタビューをする前にある程度質問項目を用意することが望ましいですが、質問を消化することが目的になってしまわないように注意することが必要です。
デプスインタビューは回答者から価値のある情報を引き出すことか重要で、質問をすることに意識が行ってしまって回答者の話に集中できないのでは本末転倒になってしまいます。
デプスインタビューは対話です。用意してきた質問を順番どおりに消化していくのではなく、回答者の話の文脈にそって質問するように心がけましょう。
▼文脈に沿っていない質問の例
質問者:「最近最も使用しているアプリを教えてください」
回答者:「〇〇というアプリです」
質問者:「ではそのアプリで最も使用している機能を教えてください」
回答者:「〇〇機能ですかね」
質問者:「ありがとうございます。では次に最も使用していない機能を教えて下さい」
回答者:「〇〇機能はあまり使用しないというか、どういう機能かわかってないです」
質問者:「ありがとうございます。では次に...」
これではただ質問リストを埋めている作業になってしまいます。
▼文脈に沿った質問の例
質問者:「最近最も使用しているアプリを教えてください」
回答者:「〇〇というアプリです」
質問者:「簡単でいいのでどのようなアプリか教えて頂いてもよろしいですか?」
回答者:「〇〇みたいなアプリなんですけど、〇〇機能もあって他のアプリより使いやすいんです。その他にも...(略)」
質問者:「〇〇機能とはどんな機能なんですか?」
回答者:「〇〇機能は複雑な設定をしなくても簡単に使用を始められる機能です」
質問者:「その機能を使わないとどのくらい設定をしなければならないのですか?」 以下省略
相手の発言をよく聞きキャッチアップすることで対話を展開していくことができていると思います。
誘導質問をしない
インタビュー中は回答者が回答に困っているときに手を差し伸べてあげたくなり、つい答えを誘導するような質問をしてしまうときがあります。
誘導質問で回答を得ることはできますが、回答者が頭の中で整理しようとしていたものが一旦リセットされてしまい、本来の考えが聞けなくなってしまう可能性があります。
回答者が回答に困っている場合は質問自体が適していなかった可能性があるので、質問を変えるなどの対応が必要になるでしょう。
「なぜ」「どうして」を使わない
なぜそのような行動をとったかという人の意思決定の理由は非常に価値のある情報です。しかし回答者に対して「なぜそうするのですか?」といった直接理由を問う質問はあまり好ましくない場合があります。 なぜ直接理由を聞いてはいけないのでしょうか? これはデプスインタビューでは回答者に「自己分析結果」を求めているわけではなく、ユーザーの体験、感情そのものを聞きたいからです。
人はある行動をする時、無意識的に行うことが圧倒的に多いです。そこに「なぜ」といった質問を投げかける事で、自分の行動を客観的に分析し、その時の体験、感情をその場で加工してしまうのです。
デプスインタビューはその時、その瞬間の感情、感覚、体験を聞くことが重要であって、後から自分を客観的に分析した結果を聞きたいわけではないはずです。 「回答者の深層心理」=「回答者による自己分析結果」ではないのです。
ではどうやって意思決定の理由を聞けばいいかというと、行動時を具体的にイメージさせてあげることです。 なぜ黒い服を買ったのですか?という質問ではなく、あなたがその黒い服を買ったときのお話を詳しく聞かせてくださいといった、その時の具体的な行動を思い出せるよう「ストーリー」を聞くのです。
意思決定の理由は回答者から「なぜ?」と直接聞くのではなく、「ストーリー」を聞き話の文脈から理解するということです。
これは実は難しいことではありません。あなたが友人から他愛もない話を聞く時はすでにそのような聞き方をしているはずだからです。
UXデザインカンパニーアジケのデプスインタビュー
今回はデプスインタビューを行う上でのポイントをご紹介しました。弊社ではWebやアプリのUIデザインだけでなくお客様のご要望似合わせてデプスインタビューのみご提供させて頂く場合もあります。
お客様の抱えるビジネス上の課題をしっかりとヒアリングし、それをもとにインタビューの設計を行います。
アプリのUX向上だけではなく、その先にある課題を見通しビジネス課題の解決につながることを意識した提案を行います。
またUXデザインカンパニーという特性を活かしUXデザイン、UIデザインの知見を活かした改善提案を提供します。インタビューやテストの結果をプロダクトに落とし込む際、UI/UXに特化した施策案を作成します。
今回の記事を読んで少しでも興味を持たれた方はぜひお声がけください。