お客様の声
株式会社ローソン銀行

今回のプロジェクトに携わっているメンバー左から
ローソン銀行 波方 康起さん、森田 光さん、伊澤 夏子さん、花山 佳奈子さん、 
アジケ サービスデザイナー 原 菜奈美
ローソン銀行 山下 晋太朗さん、江口 静代さん、尾川 琴美さん
左上:ローソン銀行 小宮山 聖花さん(※当日はオンラインでご参加いただきました)

UI/UX品質向上のためのプロセス設計と仕組みづくりをご支援

ご相談の背景(課題)

  • お客さまの声を取り入れたサービス開発体制をより強化するため、UI/UXの品質向上を目指した取り組みに着手

 

  • お客さまの声を取り入れる文化を組織全体に浸透するため、UI/UXデザインの専門家に適切なサポートをしてほしい

プロジェクト内容

  1. UI/UXデザインの品質を評価・改善する社内体制の構築支援
  2. UI/UXの標準プロセス(UXプロセス)の体系化・仕組み化支援
  3. 各種サービスのUI/UXデザイン品質改善支援
  4. 社内向け浸透施策(UI/UXデザイン研修)の実行支援

成果

  • プロジェクトの中核を担うチームメンバーがUI/UXデザインの基本的な知見を獲得、共通認識が形づくられた

 

  • お客さま向けのサービス開発におけるUI/UXデザインのプロセスが整備され、組織全体への浸透を図る一歩を踏み出せた
株式会社ローソン銀行では、2021年度から、提供する各種サービスのUI/UXデザイン品質を高めるための取り組みに注力しています。アジケは初期段階からプロジェクトに伴走し、プロセスの体系化や品質向上のために必要な社内の仕組みづくり、具体的なサービスの品質改善などを広く支援しました。

今回はプロジェクトを主導する「UX+(グロース)チーム」のメンバー全員に集まっていただき、ここまでの活動をふりかえっていただくと共に、プロジェクトの現在地と今後の展望も合わせてうかがいました。


※本記事では、プロジェクト内容1〜3にフォーカスしています。



組織全体でUI/UXデザインの品質向上に取り組む


— はじめに、UX+チームが発足した背景を教えてください。

江口さん
2021年度に会社全体の課題としてUI/UXデザインの品質向上が挙げられたことをきっかけに、2022年から具体的な取り組みについての議論をはじめました。
(ローソン銀行 経営企画部 広報室長 江口 静代さん)

他の大手企業や金融機関なら、専門部署を設置したうえで専任の役員や社員をアサインすることが多いのかもしれません。しかし当行の規模を踏まえると、特定のメンバーがその役割を担うのではなく、組織全体にUI/UXに関する基本的な知見や考え方を浸透させ、業務に携わる社員自身が判断できるようにした方がよいと考えました。

そこで各部署に相談し、メンバーを推薦してもらって社内横断的なチームを立ち上げることにしたんです。そのため、UX+チームにはそれぞれ異なるバックグラウンドをもったメンバーが集まっています。メンバーの半分以上が他部署と兼任している状態ですね。

— 当初、メンバーのみなさんはUI/UXデザインについてどのような意識を持っていましたか?


伊澤さん
このチームメンバーは前職の経験やサービス開発などを通じて、UI/UXデザインの基本的な考え方に触れたことがある人が多いと思います。私自身もそうでした。ただ組織全体にそれを浸透させ、銀行として提供するサービスに落とし込んでいくプロセスの具体的なイメージは、まだ描けていない状態でした。
(ローソン銀行 経営企画部 広報室 チーフ 伊澤 夏子さん)

ー 本プロジェクトを進めるための外部パートナーに、アジケを選んでいただいた理由を教えてください。

小宮山さん
この取り組みがはじまる前に、ちょうど当行サービスに関連するホームページのリニューアルを行っていました。そのときアジケさんにUXに関する分析とアドバイスをお願いし、的確な助言をいただいたんです。
(ローソン銀行 経営企画部 広報室 エキスパート 小宮山 聖花さん)
江口さん
外部パートナーとして何社か候補が挙がった中で、すでにそうしたお取引の実績があったこと、専門的な知見と豊富な経験をお持ちで、私たちに寄り添った形でプロジェクトを一緒に進めていただけるのではないかという信頼と期待感があり、アジケさんにお願いすることにしました。

2023年度はまず、アジケさんから知見を提供いただきながらメンバーそれぞれが自己研鑽を重ね、大枠となるUXプロセスの策定、設定したプロセスの運用、そして社内に向けた啓蒙活動の3つの軸に沿ってプロジェクトを進めていきました。

原(アジケ)
2023年度当初は、チームとしての役割やゴールが明確に見えない状態で、何を軸に、どのように考えて、何に向かっていくのか手探り状態でスタートしました。

組織支援の取り組みは、あくまでメンバーのみなさんが当事者です。何をゴールポイントとするのか、どんな優先度で進めるのか、みなさんで納得感を持って進めていけるよう、一人ひとりが意見を言える環境や方法を意識しました。

チームでゴールを設定し、役割を明確にして、都度認識合わせを行いながら進めることで、徐々にメンバーのみなさんの共通認識が作られていったように感じます。

マニュアルを増やすのではなく、既存プロセスにチェックポイントを追加


— まずはUI/UXデザインのプロセスの体系化と、品質チェックができる仕組みの整備を行いました。
この立ち上げフェーズではどのように取り組みを前に進めたのか、改めて振り返っていただけますでしょうか。

波方さん
まずは社内で進められている、サービスの開発やWeb制作などの既存プロセスを紐解くところから着手しました。
UI/UXデザインについてまったく新しいマニュアルを策定したり、必要な手続きをイチから用意したりしても組織内に浸透しにくいと考え、既存のプロセスに手順を若干追加する方法を取ることにしたんです。
(ローソン銀行基盤システム戦略部 エキスパート 波方 康起さん)

手順として追加されたチェック項目はわずかなのですが、それを実際に行うためのガイドラインやマニュアルは相当量のものを用意しました。
そうすると、関係各所からUX+チームに質問や問い合わせがくるようになります。

伊澤さん
そこで社員からもらったフィードバックをチームで共有して議論を重ね、プロセスを更新する——それを繰り返すことでアップデートしていきました。

— 特にみなさんで議論を重ねたポイントはありますか?


小宮山さん
例えばWebやアプリなどのデザインを検討するとなると、一般的には「専門家に任せるもの」と考えてしまう人の方が多いと思います。
でも、デザインの専門知識はなくても、実際にサービスを利用するお客さまの立場になって考え、使いやすさを判断することはできるはずなんですよね。

ただ「マニュアル通りにしてください」というのではなく、社内のメンバーにそうした当事者意識を持ってもらうためにはどのようなプロセスが必要か、かなり議論して試行錯誤を重ねました。

原(アジケ)
当初はみなさんがかなり悩まれながら議論されていたことが印象に残っています。
実際にUXデザインやプロセスを社内に本当に浸透させていくことができるのか、デザイナーがいない組織で実施していくことは本当に可能なのかなどの葛藤があったのではないかと思います。

みなさんで議論を重ねながら、UI/UXのプロセスを実際の案件に当てはめて検証したことで、プロセスの形やチームの役割が徐々に具体的になり、動きがスムーズになっていったように思います。

UXプロセスを運用していく中で得られた手応えと成果


— ある程度のUXプロセスが固まった後、実際のサービス開発でその一部を導入いただいています。運用をはじめてから、手応えは感じていらっしゃいますか?

花山さん
アジケさんにUI/UXデザインのユーザー調査研修を実施してもらい、そこで学んだノウハウをもとに、あるサービスのユーザーテストの実施方法をこれまでと大きく変えてみることにしました。
(ローソン銀行 ソリューション開発部 ATM開発課 チーフ 花山 佳奈子さん)

これまでは調査会社に依頼し、2か月ほどの期間をかけてウォーターフォール型のプロセスでテストを行っていました。それを自分たちで、2週間ほどの間に計画から分析まですばやく行う方法に変え、アジャイル型のプロセスに組み込むための試行を重ねていきました。

森田さん
私はこれまでもさまざまなサービス開発に携わってきたので、最適なUI/UXについてそれなりに理解しているつもりでいたんです。でもいざ自分たちで新しい形のユーザーテストを行ってみると、想定とは異なる回答が返ってくることが多々ありました。
(ローソン銀行 ソリューション開発部 エキスパート 森田 光さん)

そうした体験を重ねていくうち、自分自身の経験や思い込みで開発を進めてしまうことのリスクを痛感し、お客さまの声を適切に拾い上げてサービス開発に反映していくことの重要性を、これまで以上に強く認識しましたね。

伊澤さん
私は2023年度に行った新型ATMを紹介するWebサイトのLP(ランディングページ)の制作に、UXプロセスを適用して進めました。UI/UXデザインの良し悪しに関する客観的な判断基準が明確になったので、スムーズに制作を進められたと思います。

ローンチから3か月後に行った効果測定で、知っていただきたいコンテンツが狙いどおりに閲覧されていることが確認でき、効果を実感しました。

尾川さん
私は、2024年に入ってからATMのUI/UX改善に取り組んでいます。ATMの開発にはWebやアプリとはまた異なる難しさがあり、これまでもさまざまな課題がありました。

まだ改善を行ってから日が浅いため十分なデータが集まっている状態ではありませんが、直近の効果測定ではコールセンターへの問い合わせ件数が半分以下に減少した、という結果が出ています。これから十分な分析を重ね、さらにUI/UXデザインの品質向上に取り組んでいく予定です。
(ローソン銀行 商品サービス部  尾川 琴美さん)


プロジェクトは道半ば。引き続き組織全体への浸透を図っていく

— 本プロジェクトはまだ道半ばであり、これからもUX+チームのみなさんの活動は続いていくと思います。現時点での課題、今後の取り組みについて教えてください。

山下さん
社内ではUX+チームが認知され、適宜、UI/UXデザインに関する相談や問い合わせがチームに寄せられるようになりました。ただ当然ながら、組織全体でUI/UXデザインに対する本質的な理解を深め、それをサービス開発などのプロセスにしっかり組み込んで成果が得られる状態に持っていくまでには、まだまだ時間がかかると思います。

現状はUX+チームのメンバーが各プロジェクトに参加し、サポートする形で運用を進めているので、まずは私たちがサポートしなくても、UXプロセスがしっかり実装される状態を目指したいですね。
(ローソン銀行 商品サービス部 山下 晋太朗さん)
江口さん
2023年度はUXプロセスの策定と一部案件への導入、社内向け説明会の実施などを通して、UI/UXデザイン品質向上のための一歩を踏み出すことができました。2024年度は、引き続き運用を進めていく中でさまざまな課題が生じると思いますので、改善を重ねながらプロセスの定着を目指していきます。

また人材育成の取り組みも同時進行で進めており、アジケさんにはさまざまな研修をお願いしています。すでに全社向けの基礎研修を実施していただいており、社員からも好評ですので、今後のプログラムにも期待しています。

※インタビュー当時2024年7月の状況を掲載しております。

この事例の該当サービス

Applicable service

組織デザイン

デザイン組織開発支援

お客さま自らが組織やサービスの課題を解決できる状態を目指し、アジケがこれまで数多くのプロジェクトで培ったUXデザインの知見を用いたご支援を行います。

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