株式会社ローソン銀行では、2021年度から、提供する各種サービスのUI/UXデザイン品質を高めるための取り組みに注力しています。アジケは初期段階からプロジェクトに伴走してさまざまな社内の仕組みづくりを支援すると同時に、UI/UXデザインの基本的な考え方やノウハウが学べる研修プログラムを提供しています。
今回はプロジェクトを主導する「UX+(グロース)チーム」メンバーのみなさんに、実際に研修を受講した感想と、社内でどのような意識の変容が起きているかを語っていただきました。
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※本記事では、プロジェクト内容 4. 社内向けUI/UXデザイン研修支援にフォーカスしています。1~3についてはこちらの記事でご紹介していますので、合わせてご覧ください。
座学と実務に活かせるワークで、より実践的な研修を実施
— 2023年度より、社内に向けたUI/UXデザイン研修の開催をアジケが支援させていただいています。まずは簡単に、全社研修に取り組むことになった背景をご紹介いただけますか?
江口さん
当行では提供するサービスのUI/UXデザイン品質向上に取り組むにあたり、デザインの専門部署や専任の担当者に任せるのではなく、組織全体で理解を深め、スキルの底上げを行うことによって課題解決を図ることにしました。
2023年度はUXプロセスの策定、設定したプロセスの運用に取り組むのと同時進行で、知見向上のため、まずUX+チームメンバーがユーザー調査研修を受講、そして、UX+チームメンバーが受講者のサポーターとして参加する形で、商品・サービスの開発に携わる部署の社員を対象にしたユーザー調査研修を実施しました。2024年度は2023年度の実績を踏まえ、社内に向けた啓蒙活動・全社的な知見向上の取り組みの一つとして、全社研修を2024年7月に実施しました。
(「デザイン基礎研修」の目次)
(「ユーザー調査研修」の具体的な研修内容 一部抜粋)
(※2024年8月時点で、全社に向けてアジケ主導による「デザイン基礎研修」と「ユーザー調査研修」、UX+チーム主導による2回目の「ユーザー調査研修」を実施済み)
— チームメンバーのみなさんは、研修を受講してみていかがでしたか?
伊澤さん
全社向けの研修を計画する前、2023年8月にUX+チームメンバー向けにユーザー調査研修を実施してもらったのが最初でしたね。
(左からローソン銀行 経営企画部 広報室 チーフ 伊澤 夏子さん、アジケ サービスデザイナー 原 菜奈美)
UI/UXデザインの定義や概念などを学ぼうとすると、「難しい」と感じてしまう人もいると思います。でもアジケさんの研修は講義とワークの両方で構成され、ワークの内容も自分たちの実務に沿ったものなので、それが自分ごと化につながりとても良かったです。
原(アジケ)
研修を実施する際は、参加いただくみなさんの業務内容に合わせてお題を用意し、ご自身の業務に紐づくような実践的な研修内容を意識して設計を行っています。研修は、その場限りで終わってしまうことも多いと思うのですが、アジケが提供する研修は実務に反映すること・「知っている」を「できる」にすることをゴールとしてご支援しています。
森田さん
先日実施した全社研修のプログラムが非常に面白かったです。例えば「実際のサンプル画面を操作して使いづらい部分を指摘する」などの実践的なワークなどが含まれており、受講する側が自分ごとと捉えて取り組みやすい、とても良くできた内容だったと思います。
尾川さん
私も同感です。実務に近い事例に触れることによって、このような例があるなら私たちもこうできるのではないかなど、具体的な施策を考えるきっかけにもなりました。
(ローソン銀行 商品サービス部 尾川 琴美さん)
研修内容に基づいた実践が、自信にもつながった
ー 「ユーザー調査研修」を受講いただいたみなさんはどうでしょうか。
花山さん
私はこれまでもユーザー調査を担当していたものの、専門的なスキルや知識が十分にあったわけではなかったので、調査プロセスや分析の方法が最適かどうか、インタビューの手法に問題がないかなどを、客観的に判断できていませんでした。
今回アジケさんの研修を受け、実際に自分自身が調査員としてユーザーテストを設計・実施していく中で、一つひとつのプロセスについて答え合わせをしながら進めることができました。もちろんまだ完璧とはいえませんが、すごく自信につながっています。
小宮山さん
改めてユーザー側の立場を実際に体験してみて、概念や理論だけ学んでもなかなかわからない、実践につながる気づきを得られましたね。
山下さん
デザイン基礎研修は、座学研修だと体系的な知識を得ることができても、実務に置き換えるとどうなるのか、という段階まで持っていくことが難しい場合が多いと思います。ですがユーザー調査研修では、実際のサンプル画面を用いて、具体的な例まで目で見て操作することができたため、より実務に近いレベルで知識を得ることができました。
波方さん
過去のプロジェクトでもユーザー調査の結果を共有してもらったり、インタビューを観覧したことは何度かありましたが、目的もプロセスも理解せず、なんとなく見たり聞いたりしていました。ユーザー調査の結果を元に具体的な行動につなげることはありませんでしたが、研修を受けて理解が深まったことにより、思考が変わってきたと感じています。
例えばシステム都合で実現が難しいケースが出てきた場合に、諦めるのか、代替案の検討が必要か、代替案を検討する場合にどこまでだったら許容できるか等をユーザー目線で考えられるようになったと思います。
(左からローソン銀行 経営企画部 広報室長 江口 静代さん、経営企画部 広報室 エキスパート 小宮山 聖花さん)
(ローソン銀行 商品サービス部 山下 晋太朗さん)
全社研修を重ねるごとに、変わりつつある社内の空気
— 研修を受けた社員のみなさんからは、どのような反応がありましたか?
江口さん
デザイン基礎研修は、サービス開発に関連する部署の社員60名ほどが受講しました。チームメンバーからも話が挙がったように、私たちの実務に即した内容のワークを取り入れてもらったことで、UI/UXデザインに対する最初のハードルは超えられたように思います。
(左からローソン銀行 ソリューション開発部 エキスパート 森田 光さん、経営企画部 広報室長 江口 静代さん)
特にお客さまからいただいた声をどう拾い上げ、どのように分析してサービスに反映していくのか、実践的なプロセスを体験してもらうことができ、その重要性を理解してもらうための良い機会になりました。
伊澤さん
参加者の中にはバックオフィスのサービス開発とは直接関わりのない社員もいたんです。そうした人たちにも、例えば普段の資料作成にUXの考え方を当てはめて考えてもらうなど、この研修を通じて全社的にUI/UXデザインの意識を高めるきっかけにつながったらよかったと思います。
花山さん
社員からの反応も良く、こちらから感想を聞くまでもなく、わざわざ「この間の研修が面白かった」と声をかけてもらったこともありました。チーム内で試行錯誤を重ねながら設計した甲斐がありましたね。
(左からローソン銀行 ソリューション開発部 ATM開発課 チーフ 花山 佳奈子さん、基盤システム戦略部 エキスパート 波方 康起さん、
ソリューション開発部 エキスパート 森田 光さん)