サービスデザインの実践事例と必要な視点を紹介
ユーザー体験に加え、それを継続的に提供する仕組みや組織をデザインする、サービスデザイン。
サービスデザインの考え方は、あらゆる商品・サービスが溢れかえる現代で競合他社と差別化を図るのに有効です。
この記事では、サービスデザインの成功事例と必要な視点について詳しく解説します。
「サービスデザインの成功事例が知りたい」「事例を参考にUI/UXデザインに活かしたい」と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次[非表示]
- 1.サービスデザインの成功事例
- 1.1.①オムロン株式会社
- 1.2.②日鉄興和不動産株式会社
- 1.3.③株式会社三井住友銀行
- 1.4.④株式会社NTTドコモ
- 2.サービスデザインに必要な視点
- 2.1.①サービス全体を俯瞰して見る視点
- 2.2.②プロセスを継続して反復的に繰り返す視点
- 3.まとめ
サービスデザインの成功事例
サービスデザインは、さまざまな会社で取り入れられています。成功事例も多くあるため、参考にすることで自社のサービスに役立てられる可能性があります。
ここでは、サービスデザインの成功事例を4つ紹介します。
①オムロン株式会社
オムロン株式会社は、製造業をはじめ、社会インフラ会社などにさまざまなセンシングデバイスを提供している会社です。
センシングデバイスで得られるデータを有効活用することで、解決できる社会的課題があると考えた同社は、自律型業務改善サービス「pengu」を立ち上げます。
penguを社内工場に導入した際、データ処理が簡略化できることが分かり、業務に有効活用できる可能性を見出しました。
しかし、penguを利用するためには従業員の教育が必要であり、単独利用時は従業員の記憶が薄れてしまい、うまく活用できないという課題が浮上します。
課題を解決するためにはユーザー体験に焦点を当てた開発が必要と考え、サービスデザインの考え方を導入します。
プロジェクトメンバー同士のコミュニケーションを増やし、客観的にユーザーの行動や感情を見ていくことで、ユーザーの潜在的なニーズとサービスの課題を発見することに成功しました。
デザインプロセスのなかで得た情報を基に、新たなサービスリリースにつなげています。
②日鉄興和不動産株式会社
日鉄興和不動産株式会社は、ビル開発や住宅の販売など、不動産のあらゆる分野に携わっている会社です。
これまでのマンション販売の当たり前を打破すべく、新たな販売モデル構築に着手しました。しかし、プロジェクト開始にあたって挑戦したいことやアイデアはたくさんあるものの、うまくまとめられない現状がありました。
そこで、サービスデザインの考え方を取り入れ、客観的な視点でサービス全体を俯瞰し、ユーザータイプの選別や施策の優先順位を明確にしていきました。
優先順位を決めることで、どこから着手するべきかが明確になり、これまで停滞状態だったプロジェクトを大きく前進させます。
ユーザーがマンションを購入するまでの経路や販売員のオペレーションなどを可視化することで、求められているサービスが明確になりました。
サービスデザインの考え方を活用し、2021年10月に“「LIVIO Life Design! SALON UENO」”をオープン。競合他社からも反響を呼ぶ結果となりました。
③株式会社三井住友銀行
株式会社三井住友銀行は、幅広い金融商品とサービスを展開する金融機関です。
スマートフォンアプリの見直しをきっかけに、ユーザー目線を取り入れたサービスデザインの重要性に気付かれました。
これまでは外部のデザイナーに依頼していたUXデザインを自社で進められるようにするべく、新たにデザインのプロフェッショナルを採用することになりました。
三井住友銀行アプリのグッドデザイン賞受賞は社内外から反響があり、これまで一つの部署が担っていたデザインも他部署の関係者を巻き込むまでに至りました。
サービスブループリントやカスタマージャーニーマップといったサービスデザインのアプローチ活用し、社内全体での意識やアイデアの共有につなげています。
④株式会社NTTドコモ
株式会社NTTドコモは、携帯電話の無線通信サービスを提供する通信会社です。
同社が提供するオンラインサービスの「ecコンシェル」は、Webサイトを訪れたユーザー一人ひとりを分析し、表示する内容を変更するというものです。
しかし、開発当初から理想像やアイデアはたくさんあるものの、最終的な形にできないという課題を抱えていました。
そこで、サービスデザインの考え方を取り入れ、機能やコストのみに注目するのではなく、ユーザー体験に焦点を当てる方向性にシフトしました。
プロジェクトメンバーやパートナー会社と密にコミュニケーションをとり、優先順位やルールを明確にしていくことで、より理想に近いサービスの提供に成功しました。
サービスデザインに必要な視点
ここでは、サービスデザインに必要な2つの視点を紹介します。
①サービス全体を俯瞰して見る視点
商品・サービス単体だけに目を向けるのではなく、サービス全体を俯瞰して見ることが大切です。
ユーザーはもちろん、組織や企業の視点を持つことで、より一貫性のあるサービスデザインができます。
サービス全体を見渡す視点を持つことで、商品の改善だけではなく、組織の仕組み改善へつながる可能性があります。
②プロセスを継続して反復的に繰り返す視点
サービスデザインは、一連のプロセスを一度完了すれば終わりというわけではありません。
ユーザーの心理やニーズ、社会の状況は日々変化していくため、必要なプロセスを繰り返し行い、サービスを改良していくことが大切です。
まとめ
この記事では、サービスデザインについて以下の内容で解説しました。
- サービスデザインの成功事例
- サービスデザインに必要な視点
競合他社と差別化を図るのが難しいといわれている現代では、サービスデザインの考え方が必要不可欠です。
サービスデザインは商品・サービスから得られるユーザー体験だけではなく、それを継続的に提供するための仕組みや組織を創り出します。
客観的な視点を忘れず、継続してプロセスを繰り返すことで、より理想に近い商品・サービスが開発できるはずです。
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