サービスデザイン、UXデザイン、CXのそれぞれの概念と重要性について
最近よく耳にする「サービスデザイン」「UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン」「CX(顧客体験)」。ざっくりいうと、これらは全てサービスやプロダクトを利用するユーザーのためのデザインや手法を指します。この記事では、サービスデザイン、UXデザイン、CXのそれぞれ概念と違いや重要性について簡単に解説します。
目次[非表示]
- 1.サービスデザインとは?
- 1.1.サービスデザインの目的
- 1.2.サービスデザインのプロセス
- 2.UXデザインとは
- 2.1.UXデザインとサービスデザインの違い
- 2.2.UXデザインのプロセス
- 3.顧客体験(CX)とは?
- 3.1.CXとUXの違いと相互関係
- 4.サービスデザイン、UXデザイン、CXの違いと重要なポイント
- 5.組織内での統合とシナジーの生み出し方
サービスデザインとは?
サービスデザインとは、ユーザー視点で、ユーザーの課題を解決し、ユーザー体験を向上させるためのプロセスと手法を指します。サービスデザインのゴールはユーザーにとって価値のあるサービスを創出することです。
サービスデザインの目的
サービスデザインの主な目的は、以下の3つです。
①ユーザー体験の向上:
ユーザーがサービスを通じて得る体験の質を高めることです。ユーザー体験の向上には、そのサービスがユーザーにとって利用しやすいものであること、利用後の満足度が高いこと、などが重要です。
②問題・課題解決:
消費者や市場にとっての具体的な問題や課題をみつけ、それを解決するためのサービスやソリューションを創出することです。そうすることで、サービスの提供者は新たなビジネスチャンスを開拓するだけでなく、競合企業においての優位性を確立し、市場での価値を高めることができます。
③ビジネス価値の創出
優れたサービスデザインは、顧客満足度の向上に直結し、結果として顧客ロイヤルティやブランド価値の向上、さらには売上増加に貢献します。また、効率的なサービスプロセスの設計により、コスト削減、運営(経営)の効率化を図ることができます。
サービスデザインのプロセス
サービスデザインの基本プロセスは、以下の通りです。
①調査:
ユーザーや市場のニーズや課題を理解するための調査を行います
②アイデア出し:
調査結果をもとに、どんなサービスが市場に合っているかアイデアを具体化させます
③プロトタイピング:
アイデアを具体的な形にし、ユーザーからフィードバックを得るためのプロトタイプの作成します
④テスト:
作成したプロトタイプをユーザーに試してもらい、その反応やフィードバックを収集し、改善を行います
⑤実装:
テストを経て改善されたサービスの運用を開始します
サービスデザインは、上記のプロセスを繰り返し行います。そうすることで、常に変化するユーザーのニーズをキャッチすることができ、時代や環境の変化に対応したサービスを提供し続けることができます。
UXデザインとは
UXデザインとは、プロダクトやサービスを利用するユーザーの体験に焦点をおいて設計されたデザインのことを指します。
ここまでいうと、「サービスデザインとの違いは?」と疑問を持つ方もいらっしゃると思うので、次の項目で二つの違いを解説したいと思います。
UXデザインとサービスデザインの違い
UXデザインとサービスデザインは、どちらもユーザーに提供する体験を向上させることを目的としていますが、どこに焦点をおいてデザイン(プロセス)を行うか、そしてアプローチ方法に明確な違いがあります。
UXデザインのプロセス
UXデザインの基本プロセスは、以下の通りです。
①調査:
ユーザーのニーズ、行動、動機を理解するため調査を行います。
②ペルソナの作成:
調査によって得られた情報をもとに、ユーザープロファイルを作成します。これにより、デザインの方向を定めることができます
③ジャーニーマップの作成:
ユーザーが製品やサービスを通じて行う一連のステップを視覚化します。ジャーニーマップはユーザーの体験を全体的に理解し、改善点を見つけ出すことに使用されます
④プロトタイピング:
アイデアを具体的な形にし、ユーザーからのフィードバックを得るためのプロトタイプを作成します
⑤テスト:
作成したプロトタイプをユーザーに試してもらい、その反応やフィードバックを収集し、改善を行います
⑥実装:
テストを経て改善されたデザインを実装し、運用を開始します
UXデザインは、ユーザー視点でのアプローチを通じて、プロダクトやサービスの利用体験を向上させることをゴールとしています。そのため、ユーザーのニーズを理解し、それに応える設計を行うことで、より満足度の高いプロダクトやサービスを生み出すことができます。
顧客体験(CX)とは?
CXとは、顧客がブランドとのあらゆる接点で得る印象、感情、体験全体を指します。つまり、そのプロダクトやサービスに触れる前のユーザーの購入プロセス、顧客サポート、配送、プロダクト・サービスの品質など、プロダクトやサービスに関わる全てのプロセスに関連しています。CXがビジネスにとって重要な理由は、各接点におけるひとつひとつの顧客満足度がサービス全体の顧客ロイヤルティに直結し、それが事業全体の売上や、企業のブランディングをも左右するからです。
CXとUXの違いと相互関係
CXとUXの概念は相互に影響し合います。優れたUXデザインはCXの重要な構成要素の一つです。ここでは、その違いについて解説します。
- UX(User Experience):特定のプロダクトやサービスを使用する際のユーザーの体験に焦点を当てます。プロダクトの使いやすさ、機能性、デザインなど、ユーザーが直接的に触れる要素に関連します。
CX(Customer Experience):顧客がブランドとの全ての接点で得る体験の全体に焦点を当てます
企業が成功するためには、プロダクトやサービスの個々の使用体験(UX)だけでなく、顧客がブランドとのあらゆる接点で得る体験(CX)の両方を最適化することが重要といえます。
サービスデザイン、UXデザイン、CXの違いと重要なポイント
サービスデザイン、UX、CXはそれぞれ異なる焦点を持ちながらも、ユーザーや顧客にとっての価値ある体験を提供するという共通の目的を持っています。サービスデザインはサービス全体の設計に関わり、UXデザインはプロダクトやサービスのユーザーの利用体験に焦点を当て、CXは顧客がブランドとのあらゆる接点で得る体験全体に関わります。
組織内での統合とシナジーの生み出し方
サービスデザイン、UXデザイン、CXそれぞれの概念を統合させ組織内でシナジーを生み出すことで、顧客にとって意味のある、一貫性のある体験を提供することが可能になります。具体的にはどんなことをすればいいか、下記をご確認ください。
①共通の目標を設定すること:
サービスデザイン、UXデザイン、CXの取り組みにおいて共通のユーザー視点のビジョンと目標を設定することで、異なるチーム間でもゴールの一貫性を持たせることができ、各施策やアクションをコントロールすることができます。
②クロスファンクショナルチームの形成:
デザイン、マーケティング、プロダクト開発、カスタマーサービスなど、異なる部門のメンバーで構成されるチームを作り、顧客体験の各側面を統合的に考え、異なる視点を共有し合います。
③ユーザー、顧客の声を活用:
ユーザーや顧客からのフィードバックやインサイトを収集し、それをサービスデザイン、UXデザイン、CXの改善に活用します。利用者の声をビジネスプロセスの中心に置くことで、より顧客に寄り添った体験を提供できます。
④継続的な評価・改善:
顧客体験を定期的に評価し、継続的にデザインと戦略に反映させることで、変化する顧客のニーズに柔軟に対応することができ、体験を継続的に改善できます。
⑤測定と評価:
サービスデザイン、UXデザイン、CXの効果を測定するためのKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に評価します。これにより、取り組みの成果を可視化し、改善点を明確化することができます。
いかがでしたでしょうか?今回はサービスデザイン、UXデザイン、CXについて解説してみました。それぞれ似ている、共通している概念が多いですが、意外と違いも明確ということがわかったと思います。それぞれの概念を貴社のチームやビジネスに生かしてみてください!
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