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UXデザイナーが知っておくべき、課金型メディアの特徴と、課金によるユーザーストーリーの変化について

こんにちは、神田です。 普段、UX/UIデザインの担当としてウェブサイト制作やサービス開発など幅広く携わっていますが、ここ最近メディア新設・改修の相談をいただくことが多くなっています。

私もヒマがあればメディアばかり見ているので、好みは割とはっきりしています。 日常的に見ているメディアは次の3つ。

・SmartNews

・yahooニュース

・サッカーキング

この3つは移動中、休憩中など一日何度も閲覧していると思います。 頻度は下がりますが、「NewsPics」「cakes」「Huff post」も割と読みます。 毛色は異なりますが、土日は家事をするので「Cookpad」も参考にしたりします。

ちなみに、このうち私が課金しているサービスはcakesだけです。Cookpadはレシピにハズレが多く、課金して快適に…と思うのですが、いまいち費用対効果が伝わってこないので踏みきれておりません。 なかなか有料課金の壁を越えられない私ですから、サービスを設計するにあたって「何」を「価値」と感じて「いくら」払ってもらうかは非常に重要です。

ということで、今回はサブスクリプション型メディアのビジネスモデルと特徴を比較したいと思います。  


目次[非表示]

  1. 1.課金メディアの料金と対価の比較
  2. 2.情報に対する課金
  3. 3.機能に対する課金
  4. 4.クックパッドのユーザーストーリー
    1. 4.1.無料ユーザーの場合
    2. 4.2.課金ユーザーの場合
  5. 5.まとめ




課金メディアの料金と対価の比較


1. NewsPics

料金:1500円/月

対価:「有料会員限定のオリジナル記事」が読める。

NewsPicsが提携している有料メディアが配信する記事が読める。


2. Cookpad

料金:280円/月

対価:便利機能が使える。( ・人気順検索 ・お気に入り保存 ・殿堂入りレシピ ・話題のレシピ ・会員限定クーポン など)


3. 食べログ 

料金:300円/月

対価:便利機能が使える。(・特別優待クーポン ・ランキング検索) 


このフリーミアム型のメディアの特徴を見ると、課金に対する対価は「情報」と「機能」の大きく2種類に分けられます。



情報に対する課金

NewsPicsなど、お金を払うと「有料記事」も読み放題というメディアは、コンテンツの魅力性が課金に対するハードルを越えられるか否かのキーポイントになります。 メディアの嗜好性やクオリティを判断してもらうため、無料記事も多くあります。いかに無料コンテンツを提供し、課金へと移行してもらうのか、その戦略はメディアによって様々です。

有料記事の先駆けだったNewYorkTimesは、1ヶ月10本までは無料で読めますが、それ以上は有料となります。 その前までは無料記事20本と設定されていましたが、ユーザーの伸びが芳しく無く10本に変更されたという経緯があります。

日経新聞の仕組みも同様で、月10本までは無料です。しかしNewYorkTimesが15ドル/月なのに対して、日経新聞は4200円/月。それでも有料会員数が40万人超えているので金額を払うだけの価値を感じてもらっているということですね。



機能に対する課金

Cookpad、食べログなど、膨大な量の情報があるサービスでは人気順検索やお気に入り保存など、「機能に対する課金」が活きてきます。 価格は比較的安く、「300円/月」くらいが多いようです。

しかし、有料会員数はCookpad150万人、食べログ70万人とそのマンモスぶりが際立っています。 「機能に対する課金」は「情報に対する課金」に比べて、ユーザーにとっては価値を感じづらいものであると思います。 なぜなら、前者は課金しなくてもがんばれば探せるのに対し、後者は課金しなければそもそも読むことができないからです。

それでもクックパッドが150万人、食べログが70万人の有料課金ユーザーがいるということは、情報が多すぎるサービスに対して「最適化」を望んでいるユーザーが多く、月数百円の出費ならば使い勝手の良いほうを選ぶということの裏付けかと思います。



クックパッドのユーザーストーリー

では、次に課金による対価をユーザーストーリーという観点で考えてみます。 「情報に対する課金」は雑誌を買うなどの行動と似ていて、読み物を購入する感覚なのでわかりやすいです。 反対に、「機能に対する課金」はわかりづらく、「サービスを快適に使える」「より便利に使える」などの”体験"を購入していると言えると思います。 クックパッドを例に上げてユーザーストーリーを比較してみましょう。


無料ユーザーの場合

料理名を入れて検索→良さそうなレシピを探す(ハズレも多いので手間)→料理する→美味しかった→次の日、料理名を入れて検索


課金ユーザーの場合

料理名を入れて検索→人気順でかんたん(¥)に探す→料理する→美味しかったので保存する(¥)→次の日、保存リストから選択

比較すると分かるように、「人気順でかんたんに探す」「美味しかったので保存する」というところに差分があります。 無料のストーリーと有料のストーリー。そのギャップがユーザーに与えられる体験の変化となります。 ユーザーはその変化分に対して月々300円を払っていることになりますね。「払っても良い」と思うかどうかは様々です。

このように、課金ビジネスを考える場合は「運営者視点」に寄った考えになりがちだと思います。 しかし、サービス設計者やUXデザイナーは「課金によって、どのような新しいストーリーを体験してもらうのか」を設計しなければなりません。 難しいですが、物語の作者になったようでわくわくしますね。



まとめ

最後に、サービス設計者が抑えておくべき点をまとめます。

・メディアのサブスクリプション型ビジネスは2種類に分けられる。

・「情報に対する課金」と「機能に対する課金」がある。

・「機能に対する課金」に対する対価は”便利””快適”などの体験を得ること。

・課金によるユーザーストーリーの変化を設計する。

以上です。 サービス設計、特にビジネス設計はUXデザイナーにとって非常に難しい分野になりますが、参考にしてもらえれば嬉しいです。 では。


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