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▼本記事の話者プロフィール
原 菜奈美(はら・ななみ)執行役員/サービスデザイナー/デザインコンサルタント
🎓 経歴・略歴
2014年:アジケへUIデザイナーとして入社
2022年:デザイン組織開発支援事業部の立ち上げ、サービスデザイナー/デザインコンサルタントに就任
2025年:執行役員に就任。金融業界を中心としたUX支援体制の強化と、パートナー型での業務設計支援を主導
💡 スキル・専門領域
UI/UXデザイン:ブランドサイト、Web・アプリ設計のプロジェクトリード多数
組織向けデザイン支援:金融企業向けのUIUX研修や社内組織デザイン教育も担当
新規事業開発:「0→1」の立ち上げ支援からプロダクト開発まで包括的にマネジメント
デジタル化が進む現代において、優れたUXデザインが重要視されていますが、それ以上に「コンテンツの力」がUXの品質を超える場面があります。
今回は執行役員の原さんに、プライベートで感じた「UXの品質を超えるコンテンツ力」についてお話しいただきました。
――どんな体験をされたんですか
私は10代・20代の頃、ライブに行くことが趣味でした。当時はデジタル化がそれほど進んでいるわけではなく、ライブに申込みをして、紙のチケットが郵送で届くのが一般的でした。
30代になって、ふとライブに行ってないなと気づき、久しぶりにライブに行ったら、その購買行動もすべて、Web上で完結するようになっていたんです。
特に驚いたのは「グッズの購入体験」です。事前に専用アプリをダウンロードし、そのアプリ上でグッズを選択・購入できるようになっていました。
クレジットカードを登録するとQRコードが発行され、会場でそのQRコードを提示するだけで受け取ることができます。ひと昔前のように長時間並ぶことなく、スムーズにグッズを手に入れることができたんです。まるでAmazonのロッカー受け取りのような仕組み。現金を用意したり、商品名を伝えたりする必要もないので、すごく快適な体験でした。
――高齢層もスムーズに利用していたとのことで?
そうなんです。通常、こうしたデジタル化された体験は高齢層にはハードルが高いと思われがちですが、会場には年配の方も多く、みなさん問題なくスムーズに利用していました。
高齢層の方々も使いこなせた1番の理由は「推しのためなら使いこなそうとする」ことじゃないでしょうか。UXが多少複雑でも、推しのグッズが手に入るなら、がんばって学習して適応するのだと思います。
通常、UI/UXデザインでは「使いやすさ」を重視しますが、コンテンツの魅力があれば多少の不便さも乗り越えられるということなんです。
近年の研究では、 エンゲージメントの高いユーザーはUXの不便さを許容する傾向がある ことが示されています(出典: Nielsen Norman Group)。特に、
の3つの要素を持つサービスでは、多少のUXの不便さよりも コンテンツへの強い愛着が優先されるというデータが出ています。
◾️UXとコンテンツの影響度比較
要素 | UXの影響度 | コンテンツの影響度 |
直感的なUI設計 | 高い | 普通 |
シンプルな操作性 | 高い | 普通 |
ファンコミュニティの強さ | 低い | 非常に高い |
限定グッズ・特典 | 低い | 非常に高い |
イベントの希少性 | 低い | 非常に高い |
デジタル体験の快適さ(UX)も重要ですが、コンテンツの魅力の方がユーザーの行動に大きな影響を与えています。
――最後に、デジタル化とUXの関係についての考えを聞かせてください。
最近、紙の保険証が復活する法案が提出されるなど、デジタル化に逆行する動きもあります。しかし、今回のライブ体験のように、適切なデジタル活用がUXを向上させることは間違いありません。ポイントはデジタル化を進めるべきかどうかではなく、「ユーザーにとって最適な体験を提供できるか」。コンテンツの力を理解した上で、UXの理想と現実を踏まえた設計が求められるということです。
今回のライブでの体験は、デジタル時代のUX設計において、「使いやすさ」と「コンテンツの魅力」を両立させることが成功の鍵だと実感しました。
これからのUXデザインでは、「シンプルで直感的なUI」だけでなく、「コンテンツの強さ」や「ユーザーのエンゲージメント」を理解した設計が求められます。
今後、デジタルサービスを開発・提供する際には、 UXの完成度だけでなく、コンテンツの質や希少性をどのように高めるかを考えることが、より良いユーザー体験につながるのではないかと考えています。リッチテキストを入力してください
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