Ver.13
良いデザイナーはライティングにこだわれる人

“この記事はポッドキャストの内容を編集しています。
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 ▼本記事の話者プロフィール

  神田 淳生(かんだ・あつお)取締役

 🎓 経歴・略歴
  関西学院大学 総合政策学部 卒業(2003‑2007)
  卒業後、デジタルエージェンシーにWebデザイナーとして入社
  2008年:株式会社アジケにウェブデザイナーとしてジョイン
  2015年:マネージャー就任
  2018年:UXデザイン事業部取締役に昇格
  2022年:デザイン組織開発支援事業部の取締役に就任
 💡 スキル・専門領域
  UI/UXデザイン:ブランドサイト、Web・アプリ設計のプロジェクトリード多数 
  組織向けデザイン支援:組織内のデザイン体制構築、人材育成プログラム『Dods』開発 
  デザインシステム構築:大手金融機関向けにデザインシステム導入をリード


なぜ“ライティング力”がUI/UXに重要なのか?

「良いデザイナーはライティングにこだわれる人」。

今回はこのテーマを軸に、UI/UXの現場で本当に求められる“良いデザイナーの条件”について語っていただきました。

普段何気なく流してしまう「文字の力」に、どれだけの価値が詰まっているのか? ライティングの重要性が高まる背景と、今求められるデザイナー像について詳しく解説します。


UXライティングとは?UIにおける言葉の設計の役割

UXライティングとは、ユーザーがサービスを操作する際に必要な文言(ボタン、ラベル、エラーメッセージなど)を最適に設計することです。

いわゆる「マイクロコピー」とも呼ばれ、ただ短い文章を配置するのではなく、ユーザーの行動意図を理解し、適切な言葉で誘導するスキルが求められます。

UI/UXデザイナーがライティング力を持つことは、ユーザー体験の質を大きく左右する要素なのです。

 要素 目的

ボタンのテキスト

 アクション誘導

ラベル・項目名

 情報の分類と認識
フォーム説明文  入力エラー防止
エラーメッセージ  信頼感・理解促進
ナビゲーション  迷子回避

📌 ポイント: すべてのUI要素に「言葉」が関与している。UXライティングはデザイン全体の“骨格”を形づくる。


良いデザイナーがライティングにこだわる3つの理由

理由①:UI/UXにおいて「文字による誘導」は欠かせない

UX設計において、ユーザーをスムーズに目的地へ導くためには、画面遷移や操作誘導のすべてが「文字」に依存します。ボタンの文言ひとつが意味不明だったり、曖昧だったりすると、ユーザーは行動を起こしてくれません。

つまり、一文字レベルの言葉選びが体験の質を左右する。

それを意識してライティングにこだわれる人こそ、UI/UXデザイナーとしての真価を発揮できるのです。

 

理由②:顧客視点を持っているかが文言に現れる

ライティングは、その人の「視点」がもっとも現れる場所でもあります。

  • ユーザー視点で書いているか?
  • 事業側の論理だけになっていないか?
  • 初めて触れる人にも伝わるか?

表面上はUI/UXの知識があっても、言葉の使い方で「誰のために設計しているのか」が透けて見える。だからこそ、良いUXライティングは良いデザインの証明でもあります。

 

理由③:一流のクリエイターは例外なく言葉に強い

ライティングにこだわるデザイナーは、一様に質の高いアウトプットを持っています。

歴代の受賞歴のある広告や提案資料の中には、グラフィックとコピーが一体となった作品が数多く存在します。

「企画書の1枚に1メッセージ、1コピー」など、伝わる構成と文言設計を突き詰めた成果物こそ、プロフェッショナルの仕事といえるでしょう。


UIテキストのチェックポイントと実践ヒント

UXライティングを行う際に確認したいチェックリストをご紹介✅:

  • ユーザーの行動意図に沿った言葉か?
  • 目的語があいまいになっていないか?(例:「こちら」→「資料をダウンロードする」)
  • 動詞はアクションを明確にしているか?
  • モバイルで読んでも意味が通るか?
  • ユーザーが迷わない「誘導線」になっているか?

🖼️ 図:伝わるUXライティングの例(Before → After)

①ボタンのテキスト

②フォームラベル

③エラーメッセージ

📌 ポイント: “誰に・何をしてほしいか”が具体的に伝わることで、UXが格段に向上する。


専門性を感じさせるデザイナーの特徴

プロフェッショナルなUI/UXデザイナーは、以下のような専門性を持っています:

  • 情報アーキテクチャ(IA):UI上の文言やナビゲーションの構成力
  • ユニバーサルデザイン:誰にとってもわかりやすい言葉選び
  • マイクロコピー最適化:最小限の文字で最大の効果を出す

こうした知識と実践力を併せ持つことで、単なる「ビジュアルデザイナー」から「UX戦略も考えられるデザイナー」へと進化できます。


よくある質問(FAQ)

Q. UXライティングとは?
A. ユーザーが操作に迷わないように、ボタン・通知・ラベルなどで最適な言葉を設計するUI/UX領域のライティング技術です。

Q. なぜデザイナーにライティング力が求められるのか?
A. UI上の文言はユーザー体験に直結し、操作性や満足度を大きく左右するためです。

Q. UXライティングに自信がないです。何から始めれば?
A. チェックリストを使ったUI文言の改善から始めてみては?ユーザー視点を持つことが第一歩です。


ユーザーに伝わる言葉こそ、最高のデザイン

  • UXライティングは、デザイン品質の核心にある
  • ユーザー視点・文脈理解・構造設計がライティング力の核
  • 時代の流れや技術変化に対応しながら、本質的な伝達力を磨くことが重要

「見た目」だけでなく、「伝わり方」「感じ方」までデザインできる人。

それが、これからの時代に選ばれるUI/UXデザイナーです。


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