アジケは2007年創業から20業界以上の多方面で数えきれないほどのプロジェクトを担ってきました。
今回はそんな経験からアジケが培ったこと、高いアウトプットを出し続けるために工夫していることなどをプロジェクトマネージャー(PM)の吉田鷹介さんにヒアリングしてみました。
ー幅広い業界との関わりを通じて「共通する部分」はありますか?
アジケは創業して約16年、20業界以上の企業様のプロジェクトを担当してきました。創業当時は主にフィットネス、モバイルメディア業界の企業様のWebサイトの制作を行っていたのですが、徐々に業界の幅が広がり、AI、アパレル、飲食や美容などから、自治体や金融業界など、本当に様々な業界の企業様とお付き合いさせていくようになりました。
幅広い業界のお客様と関わっているからこそ、時代の流れによって「共通して変化している部分」がよく分かることがあります。
アジケ創業当時は比較的どの業界もUX5層において「表層」の部分を重視していました。かっこいい、おしゃれ、インパクトあるなどのイメージにあたる部分、つまり、ビジュアルデザインですね。その後、幅広い業界においてサービスのオンライン化が進み、わかりやすさ、使いやすさがより重視されるようになり、UIデザインが課題となることが多くなりました。ここ数年は企業側の経験値や理解もどんどんと深度が深まり、UIデザインのさらに上流にあたる抽象度の高い「UXデザイン戦略」が注目されるようになってきました。アジケへの「UXデザイン」のご相談も、当初はスタートアップなどITに対するリテラシーや感度がもともと高いお客様がメインでしたが、ここ数年では歴史あるメーカー様や金融業界など、本当に様々な企業様からご依頼をいただくようになってきています。
つまり、昨今ではどの業界においても、顧客が商品・サービスを通して得られる体験をきちんと設計、デザインし、大事にしているということです。
ーアジケはどのように変化に対応していますか?
市場ニーズの変化に合わせ、アジケはまず体制部分を大幅に変えてきました。例えば、「Webサイトを制作する」というプロジェクトが発足されると、成果物の納品をゴールとする「短期的な請負型体制」を組むケースが多くありました。短期間でプロジェクトが終了し、また次のプロジェクトが始まれば新たな体制を組むイメージです。
しかし、相談内容が「UXデザイン」にシフトしてきたことにより、「お客様が抱える課題」「ゴール」をお客様と伴走して言語化して解決していくために、「長期的な伴走型体制」にレベルアップする必要がありました。
お客様のビジネスの「戦略」にあたる部分をともに構築していく大事な役割を担うことになるので、長期間のアサインを前提になるべく専属のメンバーを配属し、企業文化(カルチャー)や商品・プロダクトを深く理解するところからアウトプットまで、満足いただけるでように努力しています。
ー全てのお客様に同レベルのアウトプットを出すためにしていることは?
すべてのメンバーが高いレベルのアウトプットを等しく創出することはとても難しいですが、アジケでは「全てのお客様に高い品質のアウトプット」を提供していくための取り組みを行っています。昨年から、できるだけ社内の成果物・知見は「メソッド化」していくことに取り組んでいます。
メソッド化したワークフレームを使用することによって、すべてのメンバーが一定した品質のアウトプットを出せるようになることが狙いです。もちろん、すべてのお客様が同じ課題を持って同じ成果物を求めることはないですし、アジケが全く同じ対応をしているわけではありません。メソッドを用いて、お客様ごとにカスタマイズし、臨機応変に対応していくということで一定の品質を提供できればと思っています。
特に、私は「ある業界に特化したプロジェクトマネージャー(以後、PM)」を輩出していきたいと考えていません。どの業界にも、どの企業様にもその企業様にあったアウトプットを提供できるPMを育てていきたいと考えています。
ーデザイナーとPMの役割の違いを教えてください。
「お客様の本質的な課題を見つける」ことこそがアジケの強み。それはどの役割をもったどのメンバーにも共通したことです。
その中でも、デザイナーとPMの役割の大きな違いは「QCDのバランスを保つこと」ではないでしょうか。
本質的な課題を見つけて課題を解決していくことを考えると同時に、コストと納期を考慮するのはPMの大事な役割です。
お客様の課題の解決策が「コスト・納期」と見合うものなのか、どうすれば制約の中において高いアウトプットを叶えることができるのかのバランスをとることが、PMの腕の見せ所だと思います。社内のデザイナーとぶつかることももちろんありますし、お客様と議論になることもあります。ですが、PMはすべての意見を調整し、バランスを保って実行可能な状態にしないといけません。
お客様が求めることが、QCDのバランスの中、アジケとしてどうしても実行できないと考えた場合は必ず「すぐに言う」ようにしています。
そこで大事なことは
よりお客様の事業を考え、これらをはっきりとお伝えさせていただくことはアジケの特徴でもあります。
私たちの事業は「デザインパートナー事業」と表現しています。これは、お客様と伴走・並走して課題を解決したいという意図が含まれています。単純な請負事業だとは考えておりません。お客様とともにリスクを回避する、解決策を模索していくことこそが、私たちの事業のあり方のひとつだと考えています。
ー今後の展望を教えてください
私たちがやっていることは単に「時代の流れに応じたから」ではありません。16年前から地道にUIデザインを極め続け、高いアウトプットを出し続けてきたからこそ、お客様の信頼を得ることができたと思います。お客様からの信頼をいただいたおかげで、戦略の構築に関わる大きなプロジェクトも担うことができています。
私たちはお客様とともに成長する企業でありたいと思っています。現在も複数の企業様と定期的にワークショップを行うなど、ともに学び続け、レベルアップしていくことを意識しています。
今後もアジケのPMとしてお客様の立場に立って、お客様の本音と本質的な課題を引き出し、お客様の課題を解決することができるよう、組織としてできる工夫を模索していきたいです。