お客様の声
日鉄興和不動産株式会社

インタビュイー
日鉄興和不動産株式会社 住宅事業本部 販売統括部 冨田 雄也様(写真右から2人目)
日鉄興和不動産株式会社 住宅事業本部 販売統括部 鈴木 英太様(写真左から2人目)
インタビュアー
株式会社アジケ UXデザイン事業部 プロジェクトマネージャー 山口 葉(写真右)
株式会社アジケ UXデザイン事業部 UXデザイナー 浜野 真一(写真左)
日鉄興和不動産株式会社(以下、日鉄)は2021年10月、新しい形で新築分譲マンションを集約販売するための常設サロン『LIVIO Life Design! SALON UENO』をオープン。アジケは、本サロンでのサービス提供開始に向け、理想の顧客体験像及びその実現に向けて必要となる現場オペレーションの設計・構築を支援いたしました。今回は本サロンの立ち上げを担当されたおふたりと、アジケのプロジェクトメンバーがプロジェクトについて振り返りました。

マンション販売の「当たり前」を打破する、新サービスの立ち上げ

ー あらためておうかがいしたいのですが、今回のプロジェクトをメインで担当されたおふたりは、そもそもどんなご経歴をお持ちだったのですか?
冨田さん(日鉄)
2人とも、新築分譲マンションの販売部門に所属しています。私は入社11年目で、ずっと住宅一筋でキャリアを重ねてきました。

鈴木さん(日鉄)
私は入社して4年目になります。もともと住宅の開発を担当しており、その後、販売統括部で新築マンションの販売に携わっています。
ー 『LIVIO Life Design! SALON UENO』では、長年にわたって不動産業界の常識とされてきた、新築分譲マンションの販売モデルを再構築することにチャレンジされていますよね。あらためて、今回のプロジェクトを立ち上げた背景を教えてください。
冨田さん(日鉄)
不動産業界の中では、当社の新築分譲マンション「LIVIO」は後発のブランドです。これまではあえて、対外的な宣伝にそこまで注力していなかったのですが、会社の規模が少しずつ拡大する中で、あらためて自分たちのブランディングについて見直す動きが生まれていました。

ただ他社ブランドと同じことをしても絶対に勝てません。そこで社内のメンバーに、自分たちが「LIVIO」をつくるうえで何を大事にしてきたか、アンケートを取ってみたんです。その中で、お客さまのご要望やご意見を生かしながら作り上げ、お客さまの目線で販売してきた商品であることを再確認しました。
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鈴木さん(日鉄)
その中で私たちは、マンションの購入フローに着目しました。「LIVIO」では、「人生をデザインしよう、リビオと。」というブランドコンセプトを掲げています。お客さまの人生をデザインすることを考えると、マンションを購入するプロセスにおける顧客体験も、非常に重要ですよね。そこに注力している他社ブランドはまだなく、当社の根本にある考え方と通底したことから、実際にサービスの設計に着手することになりました。

冨田さん(日鉄)
はじまりは、当社が取り扱う物件をまとめて販売するための拠点を作ろう、というところからでしたね。
LIVIO Life Design! SALON UENOのあらゆる間取りを実物大で体感できる3次元LEDシアター
LIVIO Life Design! SALON UENOのあらゆる間取りを実物大で体感できる3次元LEDシアター

アイデアを実現するため、外部パートナーとプロジェクトに取り組む

ー プロジェクト開始後、どのような経緯で外部パートナーを探すことになったのでしょうか。また当初、アジケに対してどんな期待を抱いていたのか、教えてください。
冨田さん(日鉄)
当社が挑戦したいことは、山ほどありました。ただ、お客さまにとっての理想の顧客体験とは何かを考えたとき、優先的に取り組むべきことは何か、どうすれば運営側のオペレーションを成立させられるか、複数のアイデアをうまく連携させられるかなど、実現に向けた交通整理をしてくれるパートナーが必要だと感じるようになりました。

実は当初、それを自分たちでやろうとしていたんです。拠点をつくる目的は何か、お客さまの理想の接客は何か。どこでどんな差別化ができるのか——ただアイデアは出るものの、自分たちではそれらを収束させることができませんでした。

鈴木さん(日鉄)
発散するばかりで、これはヤバイぞ、と。他業務がとても忙しい時期でもあったので、整理がつかないままどんどんプロジェクトが後回しになってしまっていました。まさに、誰かに助けてほしいと思っていましたね。
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冨田さん(日鉄)

プロジェクトがまったく進まなかったので、社内のメンバーから紹介してもらったアジケさんにご相談することにしました。

「100%理想の答え」は存在しない。現実に即した実現方法を一緒に考える

ー はじめはサービスの全体像と状況をお伺いし、お客さまのタイプを整理して優先順位をつけたうえで、フォーカスする部分や、コンセプトに合わせたオペレーションの構築についてご提案しましたね。

アジケが加わったことで、何か変化を感じていただけましたでしょうか?

冨田さん(日鉄)
ご一緒して最初に気づいたのが、「アジケさんが明確な答えを提示してくれるわけではないんだな」ということでした。それは期待外れだったということではなく、アジケさんに担っていただいた大事な役割の一つが、現実に即して私たちができていなかった部分を一緒に整理し、ジャッジできる状態にしてもらうことだったんですよね。私たちにとっては、それがとても大きくて。

山口(アジケ)
そうですね。例え私たちが机上で考えた理想の答えをご提案したとしても、現実に即していなければそれは“正解”になり得ないんですよね。現実的に考えるときちんと順序立てて検証してみなければわからないことも多いので、それも踏まえて実現のためにどういったステップを踏んでいくかを見極めなければいけない。ビジネスにはそれがすごく大事だと考えているので、プロジェクトをご一緒するときは常に意識しています。

冨田さん(日鉄)
今回もまさに、私たちが主観で考えていたアイデアを、まず第三者視点で言語化、それをサービスブループリントに可視化していただき、その上で関係者を議論に巻き込みながら、施策の優先順位付けをしていただいたのがよかったですね。

何から着手したらいいかわからないことがたくさんある中で、一緒にプロジェクトに必要な要素を一つひとつ整理していただき、何にどこから着手すべきか、何を意思決定すべきかが明確になったことで、プロジェクトが大きく前進しました。
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冨田さん(日鉄)
またサービスブループリントを使い、マンション販売を支える運営側のオペレーションまで可視化するプロセスを通して、これまでまばらだった弊社関係者の理解度を合わせることが出来たのも非常によかったと思っています。

それらは実際、現場でお客さまと接する人たちしか理解していないプロセスであって、おそらく販売代理店ですら、そこまで細かいレギュレーションは把握していないでしょう。それを関係者を巻き込みながら、一つひとつ紐解いて整理するところからスタートし、サービスをデザインしていくようなやり方は、同業他社では取られていないのではないかと思います。

ご一緒したみなさんの姿勢にも驚かされました。業界のことについて、熱心に勉強してくれましたよね。初期段階で、マンションの販売員のオペレーションが現状はどうなっているのか、お客さまからの予約はどの経路からどんな風に入ってくるのかなど、非常に細かいところまで確認していただいたのが印象的でした。

浜野(アジケ)
そうですね。サービスを利用されるお客さまの状況は非常に多様なので、丁寧に利用経路などのパターンを洗い出し、それぞれに必要なタッチポイントなどの仕組みを用意していくことが、とても重要だと考えていました。
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サロンへの流入経路別に理想の顧客体験、実現にあたって解決すべき課題、最終的な現場のオペレーションを可視化

顧客体験のデザインに対する投資が、ブランドの差別化につながる

ー プロジェクトが無事に一区切りつき、2021年10月にサロンがオープンしました。おふたりはどんな手応えを感じていますか?
冨田さん(日鉄)
大きかったのは、他社さんからの反響でしょうか。サロンのリリースを見て、「どんな代理店に企画してもらったんですか?」と、頻繁に質問を受けるようになりました(笑)。不動産業界では通常、販売代理店にこうした企画を依頼するのが当たり前になっていますからね。

鈴木さん(日鉄)
今回、私たちは改めてしっかり地に足をつけて本質を捉えようとし、アジケさんにもサポートしていただきながら、一つひとつの細かいオペレーションまですべて自分たちで考えサービスを構築したので、やりがいも大きかったです。
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冨田さん(日鉄)
代理店さんにお世話になることもたくさんありますが、それだけがすべてではないことを実感しました。でも別に奇抜な取り組みをしようと思ったわけではなく、お客さまにそもそもどんなニーズがあるのか、その幅を確認してサービスに落とし込んだだけなんですよね。

山口(アジケ)
その考え方自体が、デザイン思考ですよね。お客さまが何を思っているのか、どんな考え方を持っているのかを精密に抽出しながら、最適解を追いかけていくという。

その「デザイン」の部分に投資すること自体が、サービスを差別化する要素の一つになると思います。地道な取り組みではあるのですが、本質的な部分の問いから積み上げたものは簡単に模倣できないので。

鈴木さん(日鉄)
自分たちで作り上げたからこそ、これから運営していくにあたって、PDCAを回していく余地があることも重要だと思っています。現在、無事にサロンがオープンし運営されていますが、現状のオペレーションは、決して最終的な“正解”ではないんですよね。

まだまだ山のように課題があるので、これからも私たちのサービスを良くするためにはどうすればいいのか、不動産販売に携わっているスタッフと考えてブラッシュアップしていきたいと思っています。

浜野(アジケ)
まさにおっしゃる通りだと思います。アジケでは、顧客目線だけではなく、サービス提供側の目線にも立ち、その両者の体験をデザインしていくことが、良い顧客体験を実現するためにも、そして持続可能な事業を実現する上でも大切だと考えています。

冨田さん(日鉄)
そうですね。今回アジケさんには、弊社の事業戦略を念頭に置いて頂きながら、顧客体験だけでなく、我々サービス提供側の動き方についても共に議論し、最終的に形に落とし込んでいただきました。

もちろん数字にこだわる視点も持ちながら、「この業界をこう変えていきたい」という事業としてのビジョンとお客さまにとっての理想像、そして現実に即したサービス提供側のオペレーションとしっかりとリンクさせる。事業を展開していくには、そうした仕組みが大事だと思っています。
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大半がオンラインで進行したプロジェクト。オフラインとの使い分けも必要

ー 今回のプロジェクトは大半のプロセスを、オンラインのミーティングを実施することで進めていきました。オンラインを活用した進め方に関しては、いかがでしたか?
冨田さん(日鉄)
そういえば、プロジェクトがはじまってからは一回も対面のミーティングをしていませんね。今回利用した、オンラインホワイトボードツール『miro』を使ったミーティングの進め方はとてもよかったと思います。毎回の定例ミーティングで、課題を整理して次回までの私たちの宿題までを設定してくださったのが、よかったです。普段は何をやるのかパートナーの方に対して指示を出す立場ですが、課題に一緒に取り組んだことは大きかったですね。

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オンラインミーティングではホワイトボードツール『miro』を使い議論を進行
鈴木さん(日鉄)
miroにログインすると、たまにアジケのみなさんが作業していることもありましたよね。同じプロジェクトを共有している感覚があって、オンラインだからといって、みなさんとの距離が遠いと感じることはありませんでした。忙しい中でも、ホワイトボードを見返せばプロジェクトの進捗を把握できました。

山口(アジケ)
一方で、オフラインでないとキャッチアップが難しい部分もあると感じました。例えば店舗でのユーザー体験やサービス提供側のオペレーションなどは、実際に現場に足を運んで観察したり、関係者の方にお話を聞いたりしてはじめて理解できる領域だと思います。今後は、オンラインとオフラインの適切な使い分けが必要になりそうですね。

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LIVIO Life Design! SALON UENOの見学の様子
冨田さん(日鉄)
そうですね。コンシェルジュの打ち合わせに同席していただくなど、オフラインでインプットしていただく機会をつくるのもよさそうです。

ブランドとして理想とする顧客体験。再現する仕組みをどう構築していくか

ー 最後に改めて、今回のプロジェクト全体を踏まえたご感想をいただけますでしょうか。また、今後ご一緒できそうなこと、アジケに期待していただいていることがありましたらぜひ教えてください。
冨田さん(日鉄)
アジケさんに参画いただいたことで、私たちがもともと根底に持っていたビジョンを引き出し、“答え”を明確に浮き上がらせてもらえたのが、いちばんの成果なのではないかと感じています。自分たちの主観だけで取り組もうとすると、どうしても動きが対症療法的になってしまいますから。

第三者の立場かつ長期的な視点に立って、現状を俯瞰して見ていただくことで、現場だけではなかなか気づけないことを拾い上げ、ビジョンにもとづいた適切な判断ができるようにサポートしていただけたのは大きかったと思います。
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鈴木さん(日鉄)
今回、アジケさんにはオペレーションの構築を支援いただきましたが、今後はそこからさらに一歩進んで、お客さまが感動する体験を提供できるようになりたいですね。きっと次のプロジェクトでは、そこに挑戦することができるのではないかと思います。


ー おふたりはこれから先、「LIVIO」というブランドをどのように発展させたいと考えていらっしゃいますか?

冨田さん(日鉄)
これまでの業界で当たり前とされてきたことを変えていきたいですね。マンションの下見に行ったら、何時間も足止めされて納得できないまま買わされるんじゃないか……というようなイメージをもたれているお客さまがまだまだ多いと思うので、そうではない選択肢を提示していきたいです。

鈴木さん(日鉄)
不動産業界に対する不満というか、お客さま目線に立ったときに感じる疑問を解消していこう、という流れや兆しが当社の中で生まれているので、そのこと自体がチャンスだと考えています。
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山口(アジケ)
まず、販売側の評価をする新しい仕組みが必要ですよね。これまでは個々の営業マンとしてお客さまにマンションを販売して、その数や売上が評価対象になっていたと思いますが、これからは理想的な顧客体験を定義して、再現性をもってそれをどう提供していくのかを考えていく必要があると感じています。

鈴木さん(日鉄)
まさに、それをやっていかないとただの自己満足になってしまうので、そこの評価制度をどう設計していくかが今後のチャレンジになりますね。

冨田さん(日鉄)
また今回の『LIVIO Life Design! SALON UENO』のような取り組みは、広報活動のように捉えられることもよくあるんです。でも私たちは業界を変えたいというビジョンのもと、本質的なニーズに応える事業だと思って取り組んでいます。PRのために何かをするのではなく、新しい事業にチャレンジすることが、結果的にPRになっていくのだと思います。

山口(アジケ)
「LIVIO」に触れたお客さまがブランドのファンになっていく顧客体験と、事業の仕組みを両輪で築いていくということですよね。まさにアジケが目指しているのも、体験のデザインを提供することでお客さまのビジネスを成功に近づけ、結果的に世の中が良い方向へ変わっていくサイクルです。

長期的な視点からそういった仕組みをデザインし、実現することが重要だと考えていますので、これからもぜひ、一緒にいろいろと挑戦させてください。


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