
なぜ、あのサイトは成果が出るのか?デザイン制作の前に勝負を決める「体験設計」の進め方
「成果の出るサイト」と「出ないサイト」の違いとは?
Webサイトをリニューアルしたのに、なぜか問い合わせが増えない。商品も思うように売れない……。
多額の費用をかけて「おしゃれでかっこいいサイト」を作ったはずなのに、期待していた成果が出ず、途方に暮れているWeb担当者の方は少なくありません。
いったい、何が問題なのでしょうか?
結論から言えば、「成果が出るサイト」と「成果が出ないサイト」の違いは、見た目のデザインではありません。
実は、デザイン制作を始める前の段階、つまり設計プロセスの時点で勝負は決まっているのです。
本記事では、その前段階にあたる「体験設計(UXデザイン)」について、なぜそれが重要なのか、どのように進めるべきかを解説していきます!
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なぜ、多くのWebサイト制作は失敗に終わるのか?
多くの企業がWebサイト制作でつまずく原因は、以下の3つに集約されます。
1. いきなり「見た目」から作ろうとしてしまう
Webサイトの制作を検討する際、多くの担当者が最初に考えるのは「どんなデザインにしようか」「どんな色やレイアウトにしようか」といった「見た目」のことです。
しかし、これは家づくりで例えると、設計図も決めずにいきなり壁紙や家具を選ぶようなものです。見た目が良くても、間取りが悪く、使い勝手の悪い家になってしまいます。
2. ターゲットユーザーが定義されておらず、誰にも響かない
「誰にでも見てもらえるサイト」を目指すあまり、「誰のためのサイトなのか」が不明確になってしまうケースも少なくありません。
結果として、ぼんやりとしたメッセージしか伝わらず、ユーザーは「ここは自分のためのサイトではないな」と感じ、すぐに離脱してしまいます。
3. サイトのビジネス上の「目的」が不明確
Webサイト制作の目的が「とりあえずリニューアルする」「競合他社がやっているから」といった曖昧なものだと、ゴールが定まりません。
「サイトを訪れたユーザーに何をしてほしいのか?(問い合わせ、資料請求、購入など)」という明確な目的がなければ、その目的に沿ったサイト構造や導線を設計することは不可能です。
成果を出すサイトが必ず実践する「体験設計」の3ステップ
では、成果を上げるWebサイトは、どのように作られるのでしょうか?
それは、ユーザーがWebサイトを通じて目的を達成するプロセス全体を設計する「体験設計」の手法を活用しているからです。
ここでは、体験設計の具体的な3ステップを解説します。
ステップ1:ユーザーを「知る」(ユーザーリサーチの手法)
成功するWebサイトの第一歩は、ターゲットとなるユーザーを徹底的に知ることです。
- どんな人なのか?(年齢、性別、職業、趣味など)
- 何に困っているのか?
- Webサイトを訪れた目的は?
- どのように情報を探しているのか?
これらの情報を深掘りするためには、ユーザーインタビューやアンケート、アクセス解析などが有効です。
【事例:三井住友銀行アプリ】
三井住友銀行は、アプリのリニューアルにあたり、徹底したユーザーリサーチを行いました。
銀行という公共性の高いサービスのため、年齢や職業が多岐にわたる幅広いユーザー500人を対象に調査を実施。「HCD(人間中心設計)プロセス」という手法を用いて、ユーザーの行動観察、プロトタイプ検証、改善を繰り返しました。
その結果、ユーザーが本当に必要とする機能や使い勝手を深く理解し、ビジネス要件とユーザビリティのバランスを両立させたアプリを開発。
その取り組みが評価され「2019年グッドデザイン賞」を受賞したほか、アプリの新規ダウンロード数も大幅に増加しました。
この成功は、デザイン制作の前にユーザーを深く「知る」プロセスが、いかに重要であるかを示してると言えます🧐
参考:(https://cxclip.karte.io/cxstory/experience_insights/experience_insights_07/)
ステップ2:ユーザーの「行動」を設計する(カスタマージャーニーマップの活用)
ユーザーを深く理解したら、次に彼らがサイト内でどのように行動するかを予測し、設計します。この際に役立つのが「カスタマージャーニーマップ」です。
これは、ユーザーがWebサイトを訪れる前、訪問中、そして訪問後にどのような感情や行動の変化をたどるのかを可視化するツールです。
「このページでユーザーは迷いそうだ」「この情報が不足していると不安に感じるだろう」といった課題を発見し、解決策を検討します。
【カスタマージャーニーマップの例:銀行アプリ】

ステップ3:サイトの「骨格」を作る(情報設計・ワイヤーフレームの重要性)
最後に、ユーザーの行動設計に基づき、サイトの「骨格」を固めます。
- 情報設計: ユーザーが求める情報を、どのページにどのような階層で配置するかを決定します。
- ワイヤーフレーム: ページのレイアウトや要素の配置を、線画でシンプルに描いた設計図です。
この段階で、サイト全体の構成や導線を確定させることで、その後のデザイン制作がスムーズに進み、手戻りを最小限に抑えることができます。

「体験設計」を軽視したプロジェクトの末路
体験設計を怠り、いきなりデザイン制作を始めると、以下のような悲劇的な結果を招きがちです。
- 手戻りの多発による、予算とスケジュールの超過
- 「やっぱりこのボタンは不要だ」「このコンテンツが足りない」といった修正が、制作の終盤になってから頻繁に発生します。
- 自己満足で使いにくいサイトの完成
- 作り手側が「良い」と思ったサイトができあがりますが、ユーザーにとってはどこに何があるか分からず、使いにくいサイトになってしまいます。
- ビジネスの成果に繋がらないという悲劇
- 結果として、問い合わせや資料請求といったコンバージョン(CV)が伸び悩み、多額の投資が無駄になってしまいます。
Webサイトは「作る前」に勝負が決まっている
Webサイト制作において最も大切なのは、「見た目」ではなく、ユーザーにとって価値のある体験を提供することです。
これからWebサイトの改善や制作を検討される方は、ぜひ「どんな体験を設計してくれるか」という視点で制作会社やパートナーを選んでみてください。
体験設計というステップを踏むことで、必ずや期待以上のビジネス成果を生み出すWebサイトが完成するはずです。
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自社のWebサイトが抱える課題や、具体的な改善策について、さらに詳しく知りたい方はお気軽にご相談ください。





