
情報設計(IA)とは?UXを支える“見えないデザイン”の基本と改善ポイント
見た目だけじゃない“UXを左右する設計”とは
Webサービスやアプリの見た目を整えるだけでは、ユーザーは「使いやすい」と感じません。
特に情報があふれる現代では、どの情報をどんな順番で、どの階層で提示するかがUXを大きく左右します。
その「使いやすさの土台」をつくるのが 情報設計(Information Architecture / IA) です。
デザインの世界では、UIデザインのように表に見える要素だけでなく、裏側の構造(=IA)が“デザインの基礎体力” として重要視されています。
IAが弱いと、美しいUIを整えても迷いやすく、操作が難しいサービスになってしまいます。
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目次[非表示]
情報設計(IA)とは何か?UXデザインとの関係
● Information Architectureの定義
情報設計(Information Architecture / IA)とは、ユーザーが必要な情報に最短距離でたどり着けるように、情報を整理・構造化すること を指します。
具体的には、
- コンテンツの分類
- 階層構造の設計
- ナビゲーションのルール
- 用語の統一・ラベリング
などを、ユーザー視点で整えるプロセスです。
● IAがUIとUXをつなぐ中間領域である理由
IAは、UIとUXの“橋渡し”の役割を持ちます。
- UX(体験):どんな行動をし、どのような感情を得るか
- IA(構造):行動できるように導くための「構造」
- UI(見た目・操作):実際の画面やコンポーネント

UXの理想を実現するためには、UIを置く前に情報構造が正しく設計されているかが重要です。
良いUIは、良いIAに支えられて成立すると言えます。
良いIAがあるとどう変わる?ユーザー体験への影響
良いIAを設計すると、UXには次のような変化が生まれます。
● 探しやすいナビゲーション/理解しやすい構造
- 迷わず目的のページにたどりつける
- カテゴリ分類が論理的で、一貫性がある
- 初めてのユーザーでも操作方法が推測しやすいIAが正しいと、情報探索のストレスが減り、サービス全体の体験が滑らかになります。
● 金融や大規模サービスでの成功例
特に、金融アプリやEC、大規模WebサービスなどでIAは大きな効果を発揮します。
たとえば…
- 銀行アプリ:口座管理、入金、振込、資産運用など、複雑な情報を“直感的に理解できる構造”に整理
- ECサイト:膨大な商品をカテゴリ・属性・フィルタで整理し、検索しやすい
- 行政・医療系サイト:専門的で複雑な情報をユーザーの目的別に導く
複雑さが増すほど、IAの重要性は高まります。
IAを設計するための基本プロセス
情報設計は感覚ではなく、ユーザー行動にもとづいて進める必要があります。
代表的なプロセスは次のとおりです。
● ① コンテンツ整理(カードソート、サイトマップ設計)
まずは、サービスに必要な情報をすべて洗い出し、ユーザーの視点で分類していきます。
- カードソート:ユーザーにカードを分類してもらい、自然な情報のグルーピングを把握
- サイトマップ設計:得られた構造をもとに、階層や遷移を設計
“企業内部の分類”と“ユーザーが理解しやすい分類”は違うことが多く、カードソートはそのギャップを見つけるのに役立ちます。
● ② ユーザーテストによる情報の優先順位づけ
ユーザーテストでは次のような問いを確認します。
- 重要な情報は上の階層にあるか?
- 認知負荷が高い部分はどこか?
- ナビゲーションの理解に詰まっていないか?
ユーザーが“どこで迷うか”を把握し、情報の優先順位を再整理します。これにより、構造の精度が大きく向上します。
失敗する情報設計の特徴と改善のヒント
● ① 組織目線で構成してしまう
企業内部の部署やプロジェクト単位で情報を分類してしまうケースはよくあります。
しかしユーザーは組織構造を知らないため、理解しにくいナビゲーションになります。
→ 常にユーザーの目的から逆算する構造 に変更することが必要。
● ② コンテンツ量に対して構造が浅い
情報量が多いのに階層が少ない場合、1ページの情報量が増え、ユーザーが迷いやすくなります。
→ 適切な深さの階層設計(3階層〜4階層など)と、用途に応じた構造化が大切。
● ③ 改善のためのリサーチ・ユーザーテストの活用法
- ファーストクリックテスト
- ツリーテスト
- コンテンツ分析
- 競合リサーチ
これらを継続的に行うことで、“企業側の論理”と“ユーザーの理解”のズレを発見できます。
AIを活用した情報設計、WF(ワイヤーフレーム)作成プロセス
近年はAIツールを活用することで、情報設計のスピードと質が向上しています。
● AIでできること
- カテゴリ分類の自動生成
- サイトマップ案の作成
- ユーザー行動モデルの推定
- 文章のラベリング統一
- ページ構造の草案生成
- ワイヤーフレームの自動作成(Figma AI など)
● おすすめAI・ツール
- ChatGPT / Claude:ユーザーシナリオ生成、情報構造案の生成
- Figma AI:ページレイアウトやWFの自動生成
- Whimsical / Miro AI:サイトマップやフローチャート生成
- Optimal Workshop:カードソートやツリーテストの解析
特に初期段階の構造案はAIで大量生成し、人間のデザイナーがユーザー視点から評価することで、スピードと品質を両立できます。
まとめ:IAを“継続的に改善する文化”をつくる
情報設計は一度作って終わりではありません。
ユーザーのニーズ、サービス内容、競合環境は常に変化します。そのため、
- 定期的なユーザーテスト
- IAの見直し
- チーム全体での情報整理のルール化
- コンテンツ運用プロセスの整備
といった “継続的に改善する文化” を組織内につくることが欠かせません。
IAは見えない領域ですが、UXの質を根底から支える、もっとも重要なデザイン活動の1つです。
良い情報設計を行うことで、ユーザーにとって迷いのない、ストレスのない体験を届けることができます。
ユーザー体験を根本から改善するには、情報設計(IA)の見直しが欠かせません。
「どこから手を付ければいいかわからない」「現状の課題を整理してほしい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください!
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