Ver.19
「ナビゲーションの数」、いくつがベスト?

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 ▼本記事の話者プロフィール

  神田 淳生(かんだ・あつお)

 🎓 経歴・略歴
  関西学院大学 総合政策学部 卒業(2003‑2007)
  卒業後、デジタルエージェンシーにWebデザイナーとして入社
  2008年:株式会社アジケにウェブデザイナーとしてジョイン
  2015年:マネージャー就任
  2018年:UXデザイン事業部取締役に昇格
  2022年:デザイン組織開発支援事業部の取締役に就任
 💡 スキル・専門領域
  UI/UXデザイン:ブランドサイト、Web・アプリ設計のプロジェクトリード多数 
  組織向けデザイン支援:組織内のデザイン体制構築、人材育成プログラム『Dods』開発 
  デザインシステム構築:大手金融機関向けにデザインシステム導入をリード

 

サイトやアプリを作るときに、必ず関わってくるテーマであり、地味だけど誰もが気になる「ナビゲーションの数」について。

「ナビゲーションって5個か7個くらいがちょうどいい」という固定観念はありませんか?いわゆる“マジックナンバー5±2”の考え方です。

でも、最近あらためて調べてみたら、その常識が大きく変わっていることに気づきました。

今日はその発見について、語っていただきました。

 



有名サイトのナビゲーションはいま何個ある?

まず前提として、PCのWebサイトの横並びのナビゲーションを想定しています。有名サイトをいくつか見ていくと、「昔の常識」からかなり変化しているのが分かります。

たとえばAppleの公式サイト。

2007年の時点では、ナビゲーションは6個+検索バーという構成でした。2017年になると7個に増えています。ここまでは“マジックナンバー7”の範囲ですね。

しかし、2024年現在ではなんと11個+検索とカートボタンという構成になっているんです。

「iPhone」「iPad」「MacBook」「AirPods」など、製品カテゴリごとにナビが並んでいて、もはや数の制限は意識していないように見えます。

次にGoogleの検索結果ページ。

「すべて」「画像」「ショッピング」「動画」など、並んでいるメニューを数えると9個ありました。

昔なら「多すぎる」と言われそうですが、いまやそれが自然に感じられます。

さらにYouTubeも昔は4つでしたが、いまは縦型ナビゲーションに変わり、スクロールで数十個の項目を扱う形になっています。

ナビゲーションという概念自体が、かつてとはまったく違う形に進化していますね。

 

なぜ増えているのか?背景にあるのは「ディスプレイの進化」

ナビゲーションが増えている最大の理由は、ディスプレイの大型化と高解像度化だと思います。モニターサイズが大きくなり、文字サイズを確保したままでも余白を取れるようになった。その結果、「何個まで」といった制限を設ける必要がなくなったんです。

10年前までは「7個を超えると見づらい」と言われていましたが、いまは見やすく整理されていれば、数は問題ではないという流れに変わっているように感じます。

 

情報設計の優先順位は「覚えやすさ」から「探しやすさ」へ

「人が覚えられるのは7±2個」という“マジカルナンバー”の話は、1950年代の心理学から来ている考え方です。ただ、UIデザインにおいては、覚えることより探せることのほうが大事になってきています。

AIが進化し、検索やレコメンドの精度が上がったことで、ユーザーが「どこにあるか」を覚えておかなくても、すぐに導線へ辿り着けるようになっています。設計者の優先順位も、「記憶に残る構造」から「目的に辿り着ける設計」にシフトしているのではないでしょうか。

 

スマホアプリのナビは“5個”の常識を超えるか?

PCに続いて、スマホアプリのナビゲーションについても考えてみました。現状、ほとんどのアプリが下部に5個のタブを並べる形式を採用しています。「ホーム」「検索」「通知」「その他」などです。

ただ、アプリの機能がどんどん増えていく中で、5個に収めるのはかなり難しくなってきています。実際には「その他」タブの中に大量のリンクが隠されているケースも多い。

今後はスマホの画面サイズや解像度がさらに上がっていくので、もしかしたらアプリのナビも6個・7個といった形に変化していく可能性があると感じています。

 

これからのUIは、AIとともに再定義されていく

これからはAIがユーザーの行動や意図を理解して、最適な情報を提示してくれる時代です。そうなると、ナビゲーションの数そのものよりも、文脈に合わせた情報の出し方が重要になります。

「数を絞ること」が目的ではなく、「どうすれば最短で目的に辿り着けるか」を考える時代に変わっていく。

UIデザインの前提が、大きく変わりつつあると感じます。



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