Ver.20
30代のデザイナーのキャリアを考える

“この記事はポッドキャストの内容を編集しています。
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 ▼本記事の話者プロフィール

  原 菜奈美(はら・ななみ)執行役員/サービスデザイナー/デザインコンサルタント

 🎓 経歴・略歴
  2014年:アジケへUIデザイナーとして入社
  2022年:デザイン組織開発支援事業部の立ち上げ、サービスデザイナー/デザインコンサルタントに就任
  2025年:執行役員に就任。金融業界を中心としたUX支援体制の強化と、パートナー型での業務設計支援を主導
 💡 スキル・専門領域
  UI/UXデザイン:ブランドサイト、Web・アプリ設計のプロジェクトリード多数 
  組織向けデザイン支援:金融企業向けのUIUX研修や社内組織デザイン教育も担当 
  新規事業開発:「0→1」の立ち上げ支援からプロダクト開発まで包括的にマネジメント

 

30代に入り、キャリアについて悩むデザイナーは少なくありません。

私自身も23歳でアジケに入社してから現在に至るまで、UI/UXデザイン、サービスデザイン、新規事業支援など幅広い領域に関わってきました。その過程で「20代と30代のキャリアは明確に違う」と実感しています。

この記事では、私が20代で得た経験、30代で直面した悩み、そしてそこから得た「専門性の磨き方」についてお話しします。

同じようにキャリアに悩む30代のデザイナーの参考になれば幸いです。

 



20代と30代のキャリアは何が違うのか?

20代の頃の私は、とにかく「経験」を最優先にキャリアを積んでいました。

Webデザイナーとして未経験で入社し、制作の基礎からUIデザイン、アプリ、ダッシュボード、UXデザインまで、とにかく幅広く挑戦できる環境に身を置いていたからです。

20代での大量の経験が、30代の”見える範囲”を変える

20代で意識していたのは、「人より多く経験しておけば、30代でのキャリアの厚みになる」という仮説でした。

今振り返ると、この考えは間違っていなかったと強く思います。

  • UIデザインの大量実践
  • UXデザインの体験設計
  • プロジェクトマネジメントの経験
  • お客様と共に新規事業を立ち上げるプロセス
  • 自社サービスの企画・推進
  • デザイン組織の立ち上げ

こういった経験を20代で“ギュッと”詰め込めたからこそ、30代に入ってからは「やるべきこと」か「やらなくていいこと」かを判断できる視野が身につきました。

30代のデザイナーが共通して抱える悩み

30代に差し掛かる頃、多くのデザイナーが「自分は何ができるのか?」という壁にぶつかります。

特に社内でもよく聞くのが、UIデザイナーやディレクターからUXデザイナーになった時の“中途半端感”です。

たとえば

  • ディレクターは進行管理は得意だが、アウトプットが“目に見える”スキルではない
  • UXデザインは抽象度が高く、「自分が何を提供できているのか」がわかりにくい
  • UIもUXもやっているが、どちらも深く極められていない気がする
  • 転職市場でも自分の強みを説明しにくい
    私自身も30代に入りたての頃、まさに同じ悩みに直面しました。

「色んなことを経験したのに、結局自分は何が得意なんだろう?」20代で幅広く経験した人ほど、この問いにぶつかる傾向があります。

その壁をどう乗り越えたのか?

結論:専門性を徹底的に磨く

30代前半に私が選んだ道は、“専門性を深掘りすること”でした。

幅広く経験してきたからこそ、「最も成果が出て、お客様に喜ばれ、自分自身も楽しめる領域」を特定し、それを磨くと決めたのです。

専門性を磨くときに重要なポイント

  1. 経験を一度棚卸しする:UI、UX、PM、サービス設計…自分は何に手応えを感じたか?
  2. 強みが発揮された案件の共通点を把握する
  3. 弱い部分を体系的に学び直す:中途半端に感じるのは「穴」があるから
  4. 伸ばしたい領域の案件を“取りに行く”意識を持つ
  5. 役割が来たときに成果を出せる準備をする

特に「体系的に学び直す」のはとても大事です。

経験値だけでは埋まらない穴を、フレームワークや理論によって補強することで専門性が一段上がり、「プロ」としての自信が持てるようになります。

UI/UXデザイナーのキャリアは2つに分岐する

アジケの職種を例にすると、デザイナーのキャリアは大きく2つの方向に分かれます。

① UX・コンサル寄りの専門性を磨く道

  • 顧客と共に新規事業やサービスをつくる
  • 課題整理・要件定義・体験設計
  • プロジェクトを上流でリードする

② 制作寄りの専門性を磨く道(UI/UX実務特化)

  • UIデザインの品質を極める
  • ユーザビリティ改善
  • プロトタイピング、デザインシステム構築
  • 体験設計〜成果物の一貫したリード

どちらが正解ということはありません。「自分はどちらが得意か?」を明確にすることで、30代のキャリアは一気に安定し始めます。

AI時代におけるデザイナーの専門性の価値

最近ではエンジニア職がAIで代替されるというニュースが増えています。デザイナーにも同じ不安を抱く人は多いでしょう。ただ、UI/UXデザインにおいてAIに奪われにくい領域は明確にあります。

AIに代替されにくい専門性

  • 事業の文脈を理解した課題定義
  • ユーザーインサイトの分析
  • サービス全体の体験設計
  • 事業側・開発側と橋渡しをするコミュニケーション
  • デザインプロセス全体のファシリテーション

これらは“人間の解釈と判断が強く影響する領域”であり、デザイナーの価値が最も発揮される部分です。

30代デザイナーに伝えたいこと:

答えは「経験を活かし、専門性を磨く」ことに尽きる!

キャリアに正解はありません。20代で広げた経験を、30代でどう“尖らせる”か。この選択によって、その後のキャリアの伸び方が大きく変わります。

30代で意識すべき3つのポイント

  1. 経験の棚卸しをして、自分の強みを言語化する
  2. 伸ばす領域を1つ決め、徹底的に学ぶ
  3. その専門性を活かせる案件や環境を自ら選ぶ

これが、私自身が悩みを乗り越えた方法であり、多くのデザイナーにも当てはまる普遍的な考え方だと感じています。




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