今回はその流れをざっと掴んで、いいところは次のUIへ繋げていき、また現状の整理をするため、ちょっと堅苦しい話をなるべく噛み砕きつつ解説していきます。
UIのながれ
2008年のカンファレンスで、MicrosoftのSurfaceを担当するリサーチマネージャー、デニス・ウィクソンが(Dennis Wixon)が「A Brave NUI World」というタイトルで述べた講演内容では、インターフェースは次のような流れになると発表しています。
CLI(コマンドラインインターフェース)
↓
GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)
↓
過渡期(現在)
↓
NUI(ナチュラルユーザーインターフェース)
↓
OUI(オーガニックユーザーインターフェース)
また、彼はこの講演で
「NUIの流れは自然なものである」
「過去を振り返ることは未来に何が待ち受けているかを予測するのに役立つ」
などのようなことを説明していたそうです。
今回はこの定義に則ってそれぞれの内容を説明してきます。
CLI | GUI | NUI | OUI | |
---|---|---|---|---|
印象 | 順番に処理をこなす切断的なもの | グラフィックで間接的なもの | アクションがそのままレスを返す直接的なもの | 状況に合わせて変化する拡張的なもの |
インタラクション | 多くのコマンドと少ない操作方法での対話 | GUIに頼りつつCUIも利用したもの | 直接操作のため速くて少ない労力での応答 | 予測されていてゼロになっていく |
デバイスとの関わり方など | 指示される | 情報を探す | 状況に応じる | 予測されている |
操作方法 | 主にキーボード | マウスとキーボード | タッチ・ジェスチャーなどの操作と限られた端末のボタン | タッチ? |
※当表は私の印象をかなり反映しているためその点ご注意くださいませ
CLI(コマンドラインインターフェース)
CLIは主にテキストベースのインターフェースで、“黒い画面”といえば多くの人はピンとくると思います。
PCを操作するためテキストベースのコマンドを打ち込む必要があります。
コマンドを多々覚えなければならない敷居の高さや永遠に続く文字列に抵抗を覚える人が大半ではないでしょうか?
ユーザーは多数のコマンドと少ない手段(基本キーボードによるコマンドの打ち込み)のためそのように感じることが多いです。
反面手段か少ないため、コマンドを覚えている熟練したユーザーにとっては操作方法に迷うことが少なく使いやすいかもしれません。
GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)
基本的にテキストベースのコマンドを打ち込むCLIとは大きく異なり、GUIは情報を画像や記号を用いて“もの”として扱えるようにしたものです。
その情報を多くはマウスを使って制御します。
GUIはWYSIWG(what you see is what you get:見たままが得られる)というデザイン原則のおかげで、メニューウインドウなどですべてのアイコンやオプションを形としてみることができるようになりました。
例えば、photoshopだとツールパレットや、メニュータブ(その中に更なる小項目)などいたる場所にアイコンが見られます。
GUIを採用してわかりやすくしたとことで、PCは幅広いユーザーに使いやすくなりました。
フォルダやファイルなどをアイコン化して可視化(ものとして扱える)してあることは、今では当然のこととなっています。
素晴らしい功績の反面、この考えが定着しすぎていてスマホのようなデバイスへのスムースな移行を邪魔しているとも言われています。
また、GUIに頼りすぎてわかりづらくなってしまう例もあります。
例えば、低解像度の画面ではphotoshopで全てのメニューを表示させると、肝心なキャンバス作業領域がかなり狭くなってしまったりします。
※wordで同様の事をすると作業スペースゼロのとんでもないことになるようです
このことから、GUIが限界に達してしまっているとも言われています。
NUI(ナチュラルユーザーインターフェース)
人間の直感を利用して、より自然で直感的な操作を可能にする仕組みや方法のことです。
GUIがWYSIWGと説明したのに対して、NUIはWYDIWG(what you do is what you get:行ったままが得られる)、という点にもとづいています。
例としてタッチパネルとジェスチャーによる操作や音声対話システムなどがあげられます。
ユーザーの学習も必要ですが、いかに操作できるかなどを伝えられるかが重要になってくるかと思います。
例えば、スワイプできる、ボタンとして押せる、メニューが出てくるなど、操作した次に起きるアクションをどのようにわからせるか重要ですね。
もちろん、ユーザーの学習状況にも依存されますが…
OUI(オーガニックユーザーインターフェース)
物理的な入力によって変化する、平面ではない表示装置をもっているユーザーインターフェイスである。OUIは、いかなる形にも変化可能な、出力装置であると同時に入力装置としても使えるディスプレイによって特徴づけられる。
NUIの次はこれになると予想されています。
状況に合わせてとった行動にインターフェースが変化するという部分は個人的にはまだ実感がわかず、結構未来的な感じもしますね。
現在について
現在はGUIとNUIの間に位置している段階です。
まだまだNUIの理想的な形は定義されきれておらず、それをいかに提案・移行していくかという大きな課題があります。
PC操作で慣れ親しんだGUIへの意識がユーザーと制作側ともに強く、下手に変換させてしまうと大きな混乱を招く恐れがあります。
GUIとNUIは共有する部分もあるのでそれを引き継ぎつつ、NUI独自のものを定義していく、
とのように言われています。
さいごに
今回扱った内容がかなり重かったので、ものすごく噛み砕いています。
情報が不足していたり、噛み砕きすぎたり私個人としての解釈によるところも大きいので、その点ご了承ください…
また本気でこの内容を扱う人には不十分なまとめかもしれないです。
(本来論文レベルとしてまとめられる題材だと思いますので…)
制作側としては、NUIがどういうものでどのように移行していくか、どんなUIを定義付けていけるかなどを意識していければいいのかなと思います。
その中で、特に「タッチデバイス」や「コンテクスト重視」という点を考えていくことが重要ではないかと思います。
また、まだ途中段階ですので積極的に実験を重ねていかなければなりません。
次回はNUIに移行していくために、NUIの原則などついてをもっと掘り進めていきたいと思います。
※参考文献:RACHEL HINMAN(2013)『モバイルフロンティア』安藤幸央、佐藤伸哉・監訳、丸善出版株式会社