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“二刀流”は素人の発想だった。日本ハム・大谷翔平から学ぶ「前提」を取り払う思考法

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UXデザイナーの富樫です。今日は私が好きな野球と、事業やプロダクトについてが半々で話します。北海道日本ハムファイターズの大谷翔平という選手を引き合いに出しながら、「前提」を取り払う思考(ラテラルシンキングと呼ばれる思考に近い)を考えたいと思います。

端的に言うと、前例や慣習にとらわれない思考が時にイノベーションを起こし、その一例が大谷選手の二刀流ではないかということ。

また、Webサービスやアプリを作る上でもけっこうこうした前例や慣習という「前提」にとらわれがちであり、事業とプロダクトが接近している現在、制作者にもこうした思考が必要になってくるのではという内容です。

“二刀流”は素人の発想から始まった

今では大谷選手本人の強い意志として浸透している、プロ野球のシーズンで「ローテーション投手+スタメン野手」の両方をプレーする“二刀流”ですが、実はこの発想は母である加代子さんによってもたらされたものだったそうです。つまり、“二刀流”は野球に関する素人によってもたらされたアイディアだったということです。

「翔平に『ピッチャーとバッターってどっちもできないのかね』って言っちゃったんです(笑)。高校時代のあの子はピッチャーとして結果を残せなかったし、不完全燃焼でした。バッターとして先に芽が出ちゃっているようにも見えましたし、だったら両方やればいいのにって…」(週刊ベースボール増刊 2016/2/20号)

この言葉に対して当時の大谷選手は「プロの世界は死にもの狂いでポジションを奪おうとしている世界なんだから、どっちもやりたいなんて、やっている人に失礼だよ」と反論していたそうです。これはまさに、大谷選手がプロ入り時、ファイターズと二刀流プレイヤーとして契約を結んだ際に多くの野球関係者から「甘いよ」と疑問を呈された言葉そのものではないでしょうか。「球界の前提」は“二刀流”という選択肢を否定するものだったのです。

しかし、最初には反対意見を口にしていた大谷選手も、高校生ながらにして「163km/h」という日本最速のストレートを投げるという規格外の目標を設定していた張本人。常に「両方やれば…」という母の先入観のない言葉が脳裏に残っており、“二刀流”を決断したということです。

大谷選手はプロ入り4年目の現在も“二刀流”を続け、4月5日現在、開幕9戦目で課題とされた打撃もリーグ2位の本塁打数、4位の打点数をマークしています。どちらのポジションかに専念して大記録を残して欲しいといった声もありますが、個人的にはそれは大谷選手以外の誰かでも成し遂げられるものであり、現在の大谷選手のプレースタイルこそが野球界にイノベーションを起こせる存在だと思っています。

事業やサービスでも、ときには「前提」を外すことが必要になる

Webサービスやアプリを作っていると、今の時代ベンチマークとなるサービスはほぼ必ず存在しますし、先人たちのよいところを踏み台にしてよりよいサービスを作るといった思考も当たり前に重要で、一定のレベルまではこの方法論でたどり着けるかもしれません。

しかし、世の中に大きなインパクトを与えるサービスはどこかで「前提」を外して、ユーザーの隠れた欲求を満たしているのではないでしょうか。

例えば、Airbnbだと「住宅は個人で所有するもので、他人を宿泊させるなんて仲良しでもないかぎりないよね」あるいは「宿泊先を提供するのはホテルの仕事」という前提を逆転させています。この前提にとらわれていた場合、世界中で使われるCtoCプラットフォームは生まれなかったことになります。

こうした事業レベルではなくても問題ありません。LINEなら「チャットコミュニケーションは文字によるものだけではない」といった前提を、スタンプや音声、動画を送るといった機能を追加していくことで前提を破棄していっています。

サービスデザインをする上でゼロベースで最善案を考えること(「ラテラルシンキング」と呼ばれる思考に近いかもしれません)も、事業がプロダクトとイコールに近づいている現在、事業者はもちろん私たち制作者にも必要になってくる思考ではないでしょうか。

「前提」を取り払い思考するために、私たちに何ができるか?

でもそんな発想ってなかなか制作に没頭していると、忘れてしまいがちですよね。

具体的な対策としては、主に以下のようなものがあるかなと思います。

バイアスのかかっていない「素人」に聞いてみよう

ユーザーインタビューでバイアスのかからない聞き方で、サービスにとらわれない欲求を聞き出してみることが有効かもしれません。

大谷選手のお母さんが「両方やればいいんじゃない?」といったように、バイアスのかかっていないユーザーからは聞き方次第で新しいアイディアが引き出せるかもしれません。

または隠れた欲求を材料に、あなたは新たに優れたソリューションを提供できるようになるかもしれません。

取り組んでいる事業やサービスでの「前提」を考えてみる

先ほどのAirbnbやLINEの例のように、競合や業界内での前提を洗い出してみると、意外に逆転できるところがあるかもしれません。

まとめ

  • 大谷選手は「野球界の前提」を取り払い、“二刀流”に挑戦している。そのアイディアは「野球素人」のお母さんによってもたらされていた。
  • 事業やプロダクトを作る上でも「前提」から脱することも必要。ユーザーインタビューや、前提にとらわれない思考でサービスをデザインしてみよう。

今回は大谷選手が「前提」を取り払うことで球界にイノベーションを起こす前提で書いています。なので、大谷選手にはぜひ“二刀流”を成功させて投打で日本を代表する選手になってほしいです。

ここまで読んでくれた方、付き合ってくださりありがとうございます。

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