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急成長メディアが続々と実践する「Instagram埋め込み」 時代ごとの情報リアリティの変遷を探る

スマホカメラ 

UXデザイナーの富樫です。今回は「Instagram埋め込み」を使ったキュレーションメディアと、それに関連して「情報のリアリティの変遷」について書こうと思います。

Webメディアを構成する要素のメインは「文章」「写真」あるいは「動画」が挙げられます。

最近、特にキュレーションメディアを見ていて、Instagramのユーザー投稿を埋め込んで、コンテンツとしているメディアが増えているように感じます。

最初は「手軽に記事を作ることができるからだろうな」と思っていましたが、「情報のリアリティ」という点に注目すると、意外にこの記事生成のフォーマットってユーザーにとって理に適ってるんじゃないか..?と思い、分析してみました。

Instagram埋め込みの方法

分析の前にInstagramの投稿を埋め込むことができるというのはあまり知られていないかもしれないので、紹介します。

以下のように、投稿のパーマリンクを開いて「・・・」のアイコンから埋め込みコードをもらうことができます。

up to me! 埋め込み

「プロ」の写真と「一般人」の写真を組み合わせた記事構成をするメディア

では、こうしたInstagram埋め込みを多用しているメディアを紹介します。

特に旅行、グルメ系のキュレーションメディアによく見られるのが、プロのカメラマンによって撮影された写真と、一般の方がInstagramに投稿した写真を組み合わせてまとめ記事を形成するスタイルです。

以下のようにrelux、RETRIPといった急成長しているメディアが実践しています。

事例1. relux Magazine

relux 例

事例2. RETRIP

retrip 1

この流れは一見安易なまとめ記事形成手法の一つであるように思えますが、読者にとってメリットをもたらす、キュレーションメディアが生みだした新たなフォーマットでもあると思います。

Instagram埋め込みがもたらす情報のリアリティ

では何に価値があるのか。それは「情報のリアリティ」がアップするという点だと思っています。

特にキュレーションメディアを消費するユーザーは実生活でもInstagramが浸透しています。

すでに友人がポジティブな体験を発信するプラットフォームとなっているInstagram。メディアの読者からしてもこうした投稿のレベル感が身近な友人や、知人にまで引き下げられ、真実味が増すのではないかと考えています。

では以前までの情報の形はどのようなものだろうなのか。インターネットやSNSの登場以前から「情報のリアリティ」について振り返ってみましょう。

情報のリアリティの変遷

1.雑誌時代 -「広告感」という課題

旅やグルメの情報といえば、インターネット台頭以前は雑誌が主な入手元となっていました。

雑誌がインターネット時代と異なるのは、情報の作り手が「プロの編集者」「プロのカメラマン」「プロのライター」と、いずれも雑誌作りのスペシャリストが並びます。

彼らの実力故、全てのスポットを「行きたい!」と思わせたり、全てのレストランを「おいしそう!」と思わせることは難しいことではありません。

そして、雑誌には「掲載料」をもらって運営している場合も多く、こうした場合、一つの写真や記事の質に優劣をつけることはできません。

これにより、読者がメディアを手にとった際「全てがきれいに描かれすぎていること」に対する懐疑心が少なからず生まれてしまうのではないでしょうか。

しかし、そんなお金をもらって掲載する以上、広告のクオリティに差を設けてしまうのはメディアとしてなかなかできることはできません。こうして「広告感」という課題は長い間放置されてきたように思われます。

2.掲示板時代 -インターネットの登場で到来した誰もがメディアになる時代

メディアではないですが、インターネットの登場で活発になってきたのが「2ちゃんねる」に代表されるような匿名掲示板でした。

匿名掲示板の「誰が書いているかわからない」というのは一見、情報の真実性と相反するようであり、情報として信頼できるものとは言い難いような気がします。

しかし、「広告感」に慣れきってしまった2000年代の私たちはこの顔の見えない言葉たちに、妙な信頼感を覚えてしまうことになります。

それはマスメディアの意見より、街やカフェの隣の席でたまたま話している一般人の会話を覗き見しているような感覚に近く、等身大で素直に見えたからかもしれません。

こうして匿名掲示板は00年代前半、勢いを増していきました。

3.CGM時代 -「口コミ」から始まったネットメディアのリアリティ追求

この「ユーザーの声」に注目し始めた代表格が「食べログ」ではないでしょうか。

2005年に「失敗しないグルメサイト」として誕生すると、「ユーザーの声」をコアバリューとしてNo.1グルメ検索サービスの地位を築きました。

現在は食べログ以外にも様々な口コミサービスがWeb上に溢れています。

4.SNS時代 - つぶやきを拾いまとめあげた「NAVERまとめ」

2004年にFacebookやmixi、2006年にTwitter、ニコニコ動画が登場。2007年にはTumblrが登場し、それぞれが成長を遂げ、’00年代後半はSNS時代に突入していきました。

キュレーションメディアの代表格の一つである「NAVERまとめ」では以下のように、他メディアやSNSから引用してきたユーザーの声で記事を形成しています。今では見慣れた形式になりました。

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5.キュレーション時代 -Instagramが情報のリアリティを増す格好の素材である理由

そして’10年代、Instagramが登場し、今では若者から中年世代に至るまで、幅広く使用されるようになりました。

「旅」や「食」といった視覚に訴えかける対象物にとって、画像投稿型のSNSの登場はリアリティを担保する上でこの上ない材料となったのです。

ユーザーが投稿しているという客観性がある上に、Instagramには加工ツールも備わっており、綺麗に写真を見せる文化があります。

こうした文化はこれまで挙げてきたキュレーションメディアに相性がよく、多用される要因になっているのではないでしょうか。

まとめ

ここまでの流れをまとめると

  • ①雑誌時代(編集者・ライター・カメラマン主体の情報発信)
  • (②掲示板時代(2ちゃんねるなど))
  • (③CGM時代(広告+口コミ))
  • ④SNS・キュレーション時代(ユーザー中心のまとめ記事)

※()内はメディアではない。

といった流れで、④のところの情報の引用元の一つとして、Instagramの埋め込みが入ってきた形でしょうか。

キュレーションメディアに関わらず、情報設計においてリアリティ、あるいは信頼性の担保は常に付き纏ってくる課題です。

現在、メディアにおいてはつぶやきや、画像の埋め込みがこうしたリアリティ向上の一助を担っています。メディアに限らず、Instagramの写真を引っ張ってきて表示させているサービスはまだまだあるので、こうしたサービスの意図を探っても「リアリティ」というのは付加価値として考えられているかもしれません。

自分も一人のユーザーとしてみると、情報の信頼度というのはマスメディアによる無機質な「紹介文」ではなく、友人の自然体な「投稿」や、見知らぬ人であっても本音っぽい情報であれば、広告的な情報よりもグッとくる感覚があります。

みなさんはどんな情報に信頼を置きますか?

メディアにおけるこうした情報設計の今後にも注目しながら見ていくと、新たな発見があるかもしれません。

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