今年四月からグロースハックチームで働き始めている石川です。こんにちは。
Web業界にて働き始め一ヶ月、学生時代と比べて入ってくる情報がどんどんWeb寄りになっているのを感じます。その中で、日々勉強したり、先輩や外部の方とのコミュニケーションしたりしているわけですが、様々なグロースハックの事例が知見として蓄積されてきたので、今回はそれをアウトプットしようと思います。
前提として、グロースハックという言葉は明確に定義されているわけではありません。
一般的な認知のされ方としては、製品そのものが成長(グロース)し続け、分析による科学をもって市場を切り開いていく(ハック)といったところでしょうか。
気になる方は、グロースハックという言葉を人類で初めて使用したアンドリューチェンさんのその時のブログを参照していただきたいです。
さて、さっそく事例を挙げていきたいと思います。
まず、数字の科学を用いた例です。
それは、誰もがご存知の
Twitterはリリースした当初、ユーザーの定着率に課題を抱えていました。
成長するためのサービスの必要な要素の一つとして、ユニークユーザーの獲得というものがあります。要は、一回使って終わりだと、そのサービスの寿命が短くなってしまいます。
そこでTwitterは、分析に入ります。
彼らは、新規に登録したユーザーの定着率をすべて数字に置き換えました。
すると、登録初日にフォローを全くしないユーザーはほとんど次の日から利用しない、という結果が明らかになりました。
また、登録初日に5〜10人以上をフォローしたユーザーの定着率は高いとデータに現れました。
そこで、Twitterは、登録時に20人くらいの候補をユーザーにおすすめリストとしてフォローさせるようなフローを設けました。
これが決定的な定着率アップの一つに繋がりました。
結果だけを見ると、あまりパンチ力のないプロモーションかもしれませんが、地道な分析が積み重なって大きな財産を獲得した例だと思います。
次に紹介する事例は、ユニークなプロモーションでユーザーを獲得したサービスです。
それは、
Hotmail
Hotmailは、1996年に生まれた世界初の無料のEメールサービスです。
当時は、無料でEメールを利用できるとは誰も考えていませんでした。
それ自体もユニークなのですが、その周知のさせ方もとてもユニークです。
それは、Hotmailを使って送信されたメールの受信者側のメールの末尾に
“Get your free e-mail at Hotmail”というフレーズを設置しました。
当初これを受け取った側の人間は、有料でEメールを利用していたユーザーですが、
彼らはEメールを無料で利用することができると驚き、試しに登録して利用すると、
さらにその先でEメールを受け取った人も驚き、と、口コミならぬメールコミが誕生しました。
これの画期的なところは、サービス運営側がプロモーションをしなくても、ユーザーが勝手に広めてくれるという最強のプロモーションである点です。
勝手にユーザーが増える仕組み、見習いたいですね。
次に紹介するものも、ユニークなプロモーションを用いたサービスです。
日本では、あまり馴染みがないですが、
Airbnb
これは、アメリカのサービスで、空いているスペース(ガレージやベランダや所持しているボートのデッキやとにかくどこでも)をユーザー同士で貸し借りするプラットフォームです。
彼らは、当初、自分たちの家の空いた部屋を誰かに貸し出すことはできないかというアイデアでこのサービスを立ち上げました。
さらにそこからアイデアを膨らませ、ホテルやユースホステルには泊まりたくない人たちをターゲットに絞り込みました。
周知のさせ方として、そのような人々が集まるイベント会場の前等でプロモーション活動を行ったり、利用してもらったユーザーからの感想などを元にフィードバックを行い、現在の形にたどり着きました。
Airbnbは結果を元に悪かった原因を改善するというプロセスを何回も踏んでいます。
それにフィードバック等の定量化された数値やデータを蓄積して、次のアクションに移すという、新サービスを成長させるために必要なプロセスを地道にこなしている良い事例だと思います。
世の中にあるサービスでも、まだまだ改善の余地のあるサービスはたくさんあるということも言えますね。
グロースハッカーにとってその事実はうれしいニュースの一つかもしれません。
次からは、スピードアップして面白い例をポンポン挙げていきます。
一つ目は、
evernote
彼らもユニークなアイデアで、周知させることに成功しています。
「I’m not being rude. I’m taking notes in Evernote.」
というステッカーを配り、ユーザーのパソコンに貼って、それを見た人たちに周知させています。
次に、ゲームの
Angry Bird
です。
一時期とても流行って、誰もが一回はあの独特な鳥のイラストを見たことがあるでしょう。
彼らは、iPadがリリースされるのとほぼ同時にAngry Birdをリリースしています。
これは、新しく話題のものが市場に出回るのと同時に、試しにプレイしてもらって周知させるというプロモーションです。
アーリーアダプターならさっそく新機種で何かを試してみたいものですよね。
どんどんいきます。
次に、
Groupon
です。
Grouponのプロモーションの手法も、ユーザー同士で勝手に広めてくれるというものです。
Grouponでは、ユーザーが他のユーザーを巻き込みたくなるような仕組みが構築されています。
また、得するのは、ユーザーだけでなく、掲載する企業側も、と言う点です。
Grouponの戦略は、最初は複雑に見えますが、理解すれば、あーなるほどとなるモデルであると思います。そのようなトリッキーなビジネスモデルを生み出すこともイノベーターとして必要なのではないでしょうか。
次に、
Dropbox
です。
Dropboxはネット上にファイルを集積することができるストレージサービスですが、彼らもまた、プロモーションを行うために、ユーザーをうまく巻き込んでいます。
紹介すればするほど、ストレージできる容量が増えるという手法です。
この例もお金をあまり書けないでプロモーションできている良い例であると思います。
まだまだ紹介したいですが、今日のところはざっくり代表的なサービスをまとめてみました。
何か見えてくるものはあったでしょうか。
成功事例のみを見て完結するのはとても安易な発想ではあると思います。
しかし、それから学べるものは数多の財産になり得ます。
グロースハックでその製品を成長させるのは容易なことではありません。
製品そのものの質が高くないと勝手に成長はしてくれません。
また、そのサービスのコンセプトが首尾一貫したものである、且つ多角的な視点をもってそれを開発しなければなりません。
エンジニアの思う操作性と、一般的なユーザビリティとの間に乖離があるというのはよく聞く話ですが、両方の視点を持った汎用性のあるエンジニアがそれらをリードして開発する必要があります。
上述した事例に見て取れるように、
グロースハッカーとは、
独創性×論理性×普遍性×知識×経験
の超ハイブリッドな人間なのではないでしょうか。
またはそういうチームでも良いですね。
長々と書いてきましたが、それぞれ何か思うところがあったと思います。
その心に貯めておいたアイデア、今こそグロースハックする時です。
または、私たちグロースハックチームがします!(笑)
これからも勉強頑張ります!
石川でした!