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『デザイン思考』を理解するため『デザイン思考入門クラス・ワークショップ』の要点をまとめてみた

こんにちは、UXデザインチーム・アートディレクターのハキリです。先日デザイン思考研究所主催『デザイン思考入門クラス・ワークショップ』へ参加してきましたので、簡単な概要と感想をまとめてご紹介したいと思います。
遺憾ながらブロガーとしての意識が低くく、写真を撮ることをすっかり忘れており写真材料はほぼありません。ご了承を!

デザイン思考って?

2020年以降に到来すると考えられている知識社会では、いかに社会をより良く変化させるかが重要であり、そのためには常に新しい発想をしていくことが求められます。しかし、世の中にはそのような「社会を良くするアイデア」を生み出すための具体的発想法が定着していません。デザイン思考はこれを解決するアイデア発想法、イノベショーンのためのアプローチ法として現在注目を浴びており、これからの社会を生き抜くためには、早い段階でこのような力を身に着けていることが強みになります。

こちら より引用いたしました。誕生の背景としましては技術主体や情報処理的な発想法など、従来のやり方ではこれまでとの違い(=活路)を見出せない。といった状況を解決するために生まれた新しい発想法、とでも言ったところでしょうか。
また、デザインをビジュアル的なスタイリング・設計と捉えるのではなく、デザインを問題解決するための施策設計として捉えているという前提があり、『デザイン思考=問題解決のための思考法』という捉え方が最もシンプルで正しいと思われます。

ワークショップ概要

 

ワークショップの目的

 

『デザイン思考の5ステップを学び初心者として基礎的理解を得る』
『現場で実際に使えるデザイン発想法の獲得』

わかりやすいですね。

利用ツール

 

スタンフォード大学 デザイン研究所(d.school)公式ガイドブック

こちら からダウンロードができます。

デザイン思考の7つの心構え

 

言うのではなく見せる
新たな経験を生みだし、視覚に訴え、よい物語を伝えながら影響力と意味のある方法であなたのビジョンを見せる。
人々の価値観に焦点を当てる
ユーザーへの共感と彼らからのフィードバックが、良いデザインの土台となる。
明快な仕事
バラバラに散在する問題から一貫したわかりやすいビジョンを生み出す。他人を感動させ、想像性を刺激するように。
素早く形にする
プロトタイプはアイデアの有効性を確認するだけの方法ではなく、イノベーションを起こす上で必要不可欠なものなので、考え、学ぶために素早く形する。
過程に注意
デザインプロセスのどの段階にいるのか、その段階でどんな方法を使い、どんなゴールを目指すのか意識する。
行動第一
「デザイン思考」の本質は思考ではなく実践。あれこれ考えて会議だけで終わるのではなく、行動して成果を出すようにする。
徹底的な協働
様々な背景や物の見方を持つイノベーターたちと協働する。多様性が水面下の驚くべき事実を明らかにし、優れた解決策の発見を可能にしてくれる。

大切な部分ですので詳細にご紹介しました。まとめると、

  • わかりやすく=人間感情の尊重
  • 素早く作って見せる=人間体験の尊重
  • 非同属の意見に協力する=多様性の尊重

といった形であくまで人間(ユーザー)中心で、1人でなくチーム全体で発想し続けることに留意しています。

ワークショップのテーマ

 

『ゼリーをリ・デザインしよう』

それで机にゼリーが置かれていたんですね…

チーム構成

ヤング…2人(両者とも男子学生)
ミドル…3人(20代後半男性←自分です、女性、3〜40代男性)
ベテラン…1人(50代男性)


5チームあり真ん中卓の6人組チームでした。メンバーの年齢層はあまり聞けなかったので勘です…

Step1. 共感

ユーザーに対する理解を深める

「ゼリーを食べる」という状況にあるユーザーを注視し、感情を紐解きます。

step1

共感は2つある

受動的共感=感情のシンクロ/自身の実体験からの理解
能動的共感=相手の中に入り込む/相手の感情を想像する

それを測る為の3つの方法

  • 観察する
  • インタビューから聞き出す
  • 体験する

1. 2人1組のペアになり、相手にゼリーを食べてもらい、自分はその状況を観察する。
2. インタビューする、こちらから答えを出さず「なぜ?」と尋ね相手の意識を汲み取る。
3. 自分がゼリーを食べる。相手は観察し、食べ終えた後今度はインタビューを受ける。

※順番はうろ覚えですが(すみません)共感を観測する点で順番が前後しても大きな差異はないかと思います。
※気になった点はひたすらポストイットにメモします。

Step2. 問題定義

解決策の基礎となる着眼点を定める

共感段階から発見・予測したニーズ(要望)とインサイト(本音)を分解・統合して、挑戦すべき問題を表出化させます。

step2

6人チームなので3ペア出来、各人の着眼点をシェアして挑戦の価値がありそうな着眼点を1つに定めます。ゼリーの容器の持ち易さ食べ易さについて、味の好みについて、そもそもゼリーが食べたかったのか… 検討した結果「ゼリーを食べたくなるシーンを明確化する」に決定し先に進めることになりました。

Step3. 創造

問題解決のためのアイデアの創造と選択

ここからチームでブレストです。とにかく思いついたアイデアを共有し、ユーザーに興味をもってもらえる有用性・聞いた事のない革新性を秘めているアイデアを選択します。
わざわざ書く事ではないかもしれませんが、ブレストではとにかく質より量。その場での判断はせず、相手のアイデアに乗っかってアイデアを出すのももちろんありです。肯定的で言ったもん勝ちの空気を作るのも重要ですね。

お酒を飲んだ後、風邪を引いた時、新幹線での移動中などなど様々な意見が出た結果「お風呂の場面で食べるゼリー」が独創的(今までの競合がない)かつ現実的で可能性を秘めているのでは、ということでこのアイデアを採用しました。

Step4. プロトタイプ

アイデアを疑似体験できるよう素早く見て考え学べる状況を作る

プロジェクトを進行する上で時間的コストを考えると早めに失敗してそこから学ぶことが重要になります。(ローンチ直前になって問題点が出現、解決する時間はあまりにも少ないetc……避けたい状況ですね)そこで素早くプロトタイプを作ってその都度確認していくことが大切になります、確認すべき点は信頼性と妥当性。機能として正しいか、共感としてワクワクできるのかを確認します。

ワークショップでは7分間で先ほどのアイデアを製品として落とし込み(温泉で地酒の入ったゼリーを飲む・食べる、半身浴中に水分摂取できるゼリーなど様々な落とし込み方の意見がありました)、紙や各工作材料を切り貼りしてプロトタイプを作成しました。とりあえず、こんなんなりました!

Step5. テスト

ユーザーの日常を想定し利用、ユーザーに対するより深い理解を得る

謎の顔風船プロトタイプが完成しましたが、これを元に隣チームとのプチ発表会を行った後お互いにフィードバックを行います。
出てきた意見はポストイットへメモし、フィードバックマップへ反映させていきます。

step5

フィードバックから製品アイデアの調整を行い、ストーリーテリングに入ります。実際にアイデアが必要とされ、いかにして問題を解決したのかを場面で紹介します(CMを作る感覚というと伝わりやすいでしょうか)。各チーム発表会という形で行われ、自分のチームの発表はこのようになりました。

母親「そろそろお風呂入ろう」
子供「やだやだ!」(ぐずる)
母親「困ったわね」(冷蔵庫を開ける)
ナレーション「凍らしても冷やしてもおいしい、子供が喜ぶ“おふろdeゼリー”で子供の気を引きます!」
母親「お風呂入ろう」(おふろdeゼリーを見せつけながら)
子供「入る!」(お風呂に入りゼリーを飲んで空いた風船容器で遊ぶ)
ナレーション「飲み終わった後には遊べて、子供の水分補給にもなります!」
母親「やったね!」
ナレーション「おふろdeゼリー新発売!」

以上のようになりました。顔風船にゼリーが入っており、ストローで飲んだ後は膨らませて遊べて水分補給にもなるという製品なのです!
prototype <改めまして、おふろdeゼリーと申します。

各チームの発表後、全員で良かったアイデアへの投票を行い、その結果なんと自分のチームが1位になり景品(MoMAのポストイット)までもらってしまいました…

まとめ

 

  • とにかくユーザー視点である
  • とにかくアイデアを早くたくさん出す
  • とにかく素早く実践して成果を測定する

とやっていることはとてもシンプルで、その分とにかく(=即断即決即行動で)早く多くの回数をこなして得るものを最大化させることが大事になります。今回も決められた時間・明確に定められた議題からアイデアを出してどんどん進行していったので、コミュニケーションも端的で鋭く洞察力が磨かれている気がしました(全ての工程が1〜3分、長めのものでも4分〜7分と短い時間ですべて管理しているので、集中力も持続できる印象です)。
「正直風呂でゼリー食わないなぁ…」と自分自身は一瞬考えてしまう場面もありましたが、チームメイトのアイデアを元に意見しブラッシュアップしていくことで自分だけでは辿り着けないアイデアとアウトプットに出来た事は、ワークショップならではの体験(デザイン思考の本質への触れ方)が出来たとも思います。
また思考法自体に技術・プロダクトベースの考え方がないのも一つのポイントと言えます。裏を返せば、これからは技術力やアウトプット(プロダクトや製品)ありきで解決できる問題が減っていくということでもあるのかもしれません。

「ダイソン創業当時は10人しか人がいなくて、エンジニアは2人だけだったが、そのあとジェームズ・ダイソンのひらめきから会社は飛躍的な成長を遂げた。ジェームズは、従来の紙パック式掃除機に対して、ゴミを捨てるときにホコリが舞う、交換が面倒、フィルターが目詰まりするなど様々な不満を持っていた。その後、紙パックを使わない掃除機も登場したが、フィルターを搭載している限り、そこに細かいゴミがたまってしまう。そこで、考えられたのが、ダイソン独自のルートサイクロン技術だ。ルートサイクロンは年々進化しており、より細かいゴミを集塵できるようになっている。

ちなみに「世界で唯一吸引力の変わらないただ一つの掃除機」で知られるダイソンの掃除機は今回のデザイン思考を5,127回繰り返したことで誕生したそうです(上記のひらめきをいかに具現化するのかがデザイン思考と言えます)。もちろん優れた技術力があってこそ発展を遂げましたが、日常の問題解決から得たアイデアを元に誕生した、という部分がポイントなのだと思います。(当たり前のことなんですけどね…)
http://www.wired.com/2011/04/in-praise-of-failure/
http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/event/ifa2013/20130909_614564.html

このテキストを読んでいただいた方でピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、個人的にはWebで定着しつつあるリーン思考やUXデザインという概念もデザイン思考が基盤となっていると考えていいのかなと思っています。早い段階で(ローンチ以前で、ローンチ後は改善という意味で)失敗を繰り返すことでリスクを最小化させ、プロトタイプからユーザー体験をベースに成果を最大化させていく発想法は流行というよりネクストスタンダードであるとも思います。ワークショップでも度々紹介されていた『Fail fast, Learn a lot.(素早く失敗し、多くを学ぶ)』の言葉はこれからを生き抜くキーワードとして肝に銘じて仕事へ活かしていきたいです。

最後に

今回ワークショップはあくまで入門編であるのと、今回学んだ内容&それ以降の内容も運営元であるデザイン思考研究所の公式サイトから教材としてダウンロードできますし、講座動画も公開されています。またスクーでは特設でオンライン講座を行っており、ワークショップ以外にも学べる機会は多く開かれていますので是非ご活用ください。
(「新しいことを学び続ける中で新しい発見が生まれ、やがて新しい価値を生み出すイノベーションにつながる」という理念の元で多くの学習環境を提供してくださっています、素晴らしい!)

一般社団法人デザイン思考研究所
http://designthinking.or.jp/

schoo – イノベーションとデザイン思考
http://schoo.jp/class/61

ワークショップで講師をされていた研究所所長/代表理事である柏野尊徳さんの
web連載「組織的なイノベーション、道具としてのデザイン思考」
http://enterprisezine.jp/bizgene/detail/4736/

出典:デザイン思考 ワークショップ 入門

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

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