前回の記事でユーザー体験を定量化することが大事だという内容を書きました。今回はそのKPI設定のフローを簡単に説明します。
以下のフローでそれを導くことができます。
UXKPIの設定フロー
今回は現在みなさんがご覧になっているブログ「アジケswitch」を例にして説明します。
1.要件定義
どんな人の、どんな問題を、どんなプロダクトで解決したいのかをまず整理しましょう。
アジケswitchの場合…
「web制作に関心のあるユーザーの疑問を記事によって解消する」
にしておきます。
2.サービスの価値(キーユース)の認識
該当するサービスがユーザーにとってどのような体験をもたらすことができるのかを洗い出します。
そのなかで最もユーザーに与えたい体験(キーユース)を考えましょう。
この時導き出されたキーユースを、KPI設定時に達成させたいUXとして使用します。
アジケswitchの場合…
「新たなweb制作の知見を得ることができる」
3.UXKPIの対象を定める
計測する対象を定めましょう。
何が達成されていれば「キーユースが満たされている」と判断できるのかを考えます。
アジケswitchの場合…
「ユーザーの再訪した割合」
これはリピート率が高ければ新たな知見を提供できているのでは?いう仮定によるものです。
実践のプロジェクトでUXKPIを定める場合は、5分ほど時間を取り、複数人で出し合い、議論して精査していきます。
「ユーザーが関連リンクをクリックした数」
でもいいですね。
関連リンクがないメディアとしても、キーユースの計測に必要だと判断された場合、新たに計測ポイント(この場合だと関連リンク)を設置するのもアリです。
このフェイズではどんどんブレストしていきましょう。
4.計測のプランを決める
先ほどのフェイズで出した対象を具体的に、どのような頻度と計測方法で行うのかを決めます。
運用において継続的にサービスのUXを向上させていくには、期間を定めることが重要になります。
「再訪したユーザーの割合」を測るのであれば、月単位でのリピート率を測るのか、期間を定めましょう。
「ユーザーの再訪した割合 / 月」
これで半分完成です。
月ごとの達成度を測ることができるようになりました。
また、対象者の定義も厳密化しておくことも大切です。
「ユーザー」を厳密に定義しないと、間違った判断を下してしまいます。
例えば今回であれば特定の1人のユーザーがリピートを100回行い、ほかの99人のユーザーは初見で帰ってしまった場合。
そうした場合でも、再訪割合は100%と導き出され、「UX達成できているのでは??」と勘違いしかねません。
(そういったヘビーユーザーを1人作るというのが目標であればOKです)
ユーザーの範囲をしっかりと定義して、正確に計測できるように指標に落とし込みましょう。
「すべてのユーザーのうち、週に2回以上再訪したユーザーの割合 / 月」
今回は、ヘビーユーザーを増やすというより一定の頻度でリピートするユーザーを増やした方が指標として正確なので、このように変更しました。
これで指標は完成です。
導き出された指標をもとに、数値をどのように向上させられるかを考え、改善を行っていきましょう。